当初はTouchPad向けに開発されていたJavaScriptアプリフレームワーク「Enyo」、マルチプラットフォーム対応のバージョン2.0がリリースされる
米Hewlett-Packard(HP)のEnyo開発チームは7月18日、「Enyo 2.0」をリリースした。EnyoはオープンソースのJavaScrptアプリケーションフレームワーク。「HP webOS」向けだった旧バージョンから一新され、モバイルだけでなくデスクトップも含めた主要なWebブラウザに対応した。
Enyoはオブジェクト指向のJavaScriptアプリフレームワークで、モジュール化・カプセル化されたコードを特徴とする。当初はHPのタブレット「TouchPad」向けアプリケーションに向けたフレームワークとして開発されていたが、HPによるwebOSのオープンソース化に伴い、2012年1月にEnyo 1.0がオープンソースとして公開されると同時に、Enyo 2.0のベータ版も公開されていた。Enyo 2.0は「機能と品質の両方からプロダクション環境に対応できるレベル」とされている。
Enyoのコンセプトは、シンプルかつパワフルなカプセル化にある。アプリケーションの要素を機能ごとに分割しやすくし、それによってコードの再利用やメンテナンスを容易にするという。カプセル化や継承といった機能を提供するエンジンやイベントディスパッチシステム、基本的なUIライブラリを含むenyoコアと、クロスプラットフォームのUIコンポーネント「onyx」、UI要素をレイアウトするための「layout」、HTML5のcanvas機能を利用するための「canvas」、そのほかさまざまなアプリケーションで利用できるコントロール集の「extra」などを含むライブラリから構成されている。
Enyo 2.0では、onyxにMenuやPicker、Tooltip、Tree、Drawer、Scrimなどのウィジェットが追加されている。画面サイズに応じて最適な表示となるツールバーも導入された。Enyoやアドオンの機能をチェックできるアプリケーション「Enyo 2 Sampler」も用意され、このアプリケーションを使ってUIコントロールのサンプルを閲覧したり、設定オプションやソースコードを調べることができるという。
EnyoはアドオンライブラリEnyo Community Galleryを展開しており、開発チームによると1月のEnyo 1.0ベータの公開以来、すでに50以上のアドオンやプラグインが開発されているという。
Enyo 2.0はプロジェクトのWebサイトより入手できる。ライセンスはApache License 2.0。
Enyo
http://enyojs.com/