1Gbpsの高速なネットワークをゆったり利用できるNTTPCコミュニケーションズのVPSサービスを試す 3ページ
WebARENAのVPSハイスペック(SuitePRO V3)のパフォーマンスは?
WebARENAのVPSハイスペック(SuitePRO V3)の特長の1つに、バックボーンネットワークに1Gbpsで接続されている点がある。一般的なVPSサービスでは回線速度が100Mbpsのものが多く、追加料金なしで1Gbpsの回線が利用できるサービスは少ない。しかし、1Gbpsで接続されていても、ネットワーク自体が混雑しているなどでパフォーマンスが出ないこともある。そこで、実際にはどの程度の通信速度となるのか、ベンチマークツールを用いてチェックしてみた。
ネットワークのパフォーマンスをチェックする
ベンチマークに試用したのは、Googleなどが参加している「M-Lab(Measurement Lab、インターネット測定ラボ)」でも採用されている、「Network Diagnostic Tool(NDT)」というツールだ。NDTはクライアントからサーバーまでのネットワーク経路について、その回線速度や状況をチェックするツールである。今回はサーバーとして日本国内にあるNDTサーバーを利用し、VPS上でクライアントを実行してその通信速度をチェックした。
NDTの使い方については配布されているソースコードアーカイブ内のドキュメントを参照してほしいが、基本的にはダウンロードしたソースコードをコンパイルし、作成された「web100clt」を「-n <利用するNDTサーバーのIPアドレス>」オプション付きで実行するだけだ。VPS上での実行例は次のリスト1のようになる。
リスト1 NDTの実行例
$ ./web100clt -n 157.82.112.68 Testing network path for configuration and performance problems -- Using IPv4 address Checking for Middleboxes . . . . . . . . . . . . . . . . . . Done checking for firewalls . . . . . . . . . . . . . . . . . . . Done running 10s outbound test (client to server) . . . . . 731.27 Mb/s running 10s inbound test (server to client) . . . . . . 703.66 Mb/s The slowest link in the end-to-end path is a 1.0 Gbps Gigabit Ethernet subnet Server '157.82.112.68' is not behind a firewall. [Connection to the ephemeral port was successful] Client is not behind a firewall. [Connection to the ephemeral port was successful] Packet size is preserved End-to-End Server IP addresses are preserved End-to-End Client IP addresses are preserved End-to-End
NDTではさまざまな情報が表示されるが、リスト1中赤文字で表示した個所がVPSからサーバー(外向き)、およびサーバーからVPS(内向き)の通信速度となる。この例の場合、前者が731.27Mbps、後者が703.66Mbpsという結果となっている。
通信速度は計測時刻や日によって変わることがあるため、NDTを異なる日、異なる時刻で3回計測した結果が次の表9だ。
試行 | 外向き通信速度 | 内向き通信速度 |
---|---|---|
1回目 | 731.27Mbps | 703.66Mbps |
2回目 | 747.35Mbps | 708.93Mbps |
3回目 | 722.23Mbps | 811.36Mbps |
このようにやや結果にばらつきはあるものの、1Gbpsの回線はやはり高速で、100Mbpsのネットワーク回線では達成できないパフォーマンスが得られている。
処理能力やストレージ性能をチェックする
続いて、VPS全体の性能についてもチェックしてみよう。処理能力やストレージ性能のベンチマークには、表10のベンチマークツールを使用した。
ツール名 | 説明 |
---|---|
Geekbench 2.2.6(x86_32) | マルチプラットフォーム対応の総合ベンチマークツール |
unixbench(BYTE UNIX Benchmarks) 5.1.3 | 古典的なUNIX系OS向け総合ベンチマークツール |
FS-Mark 3.3 | ファイル/ディレクトリアクセス速度をチェックするベンチマークツール |
Threaded I/O tester(tiobench)0.3.3 | ストレージへの並列アクセス速度をチェックするベンチマークツール |
まず、マルチプラットフォーム対応のベンチマークテストとして知られるGeekbenchの結果から見てみよう。テストはWebサイトで配布されているバイナリを次のように実行するだけで開始できる。
$ ./geekbench_x86_32
Geekbenchでは複数のベンチマークが含まれており、独自の「スコア」としてベンチマーク結果が表示される。ベンチマークテストの結果についてはResult Browserを確認してほしいが、トータルスコアは「4023」となった。GeekbenchのWebサイトではベンチマーク結果が多数公開されており、そこで比較するとこのスコアはIntel Core i7-620LM(2コア、2GHz)のCPUを搭載したWindowsマシンと同程度となる。OSや構成が異なる乱暴な比較なので参考程度としてほしいが、おおむねのイメージは掴めるだろう。
また、同様にシステム全体のパフォーマンスを計測するUnixBenchのスコアは「1247.7」となった。詳細なベンチマーク結果については記事末のリストAを参照してほしい。
ストレージのアクセス速度をチェックする
ストレージのアクセス速度については、「FS-Mark」というツールと、「Threaded I/O tester(tiobench)」というツールを利用した。FS-Markは指定したディレクトリ内に多数のファイルを作成してその処理にかかった時間を測定するツールで、Threaded I/O testerは複数スレッドから同時にストレージにアクセスする状況でのパフォーマンスを確認できるツールだ。
それぞれの詳細は各ツールのドキュメントなどを参照してほしいが、今回はベンチマークテストの条件を次のように設定した。
FS-Mark: - 作成するファイルサイズ:1048576B(1MB) - 作成するファイル数:1000 Thraded I/O tester: - 同時にストレージにアクセスするスレッド数:32 - 各スレッドがアクセスするファイルのサイズ:32MB
テストはそれぞれ3回実行している。結果をまとめたのが表11および表12だ。この結果を見る限り、ストレージのパフォーマンスについても良好と言えるだろう。なお、Threaded I/O testerではアクセス時の遅延についてもチェックできるが、どれも平均して1ミリ秒以下と小さかった。結果全文については記事末のリストB、リストCをご参照願いたい。
試行 | 結果 |
---|---|
1回目 | 110.9ファイル/秒(110.9MB/秒) |
2回目 | 199.6ファイル/秒(199.6MB/秒) |
3回目 | 91.9ファイル/秒(91.9MB/秒) |
試行 | 書き込み速度(シーケンシャル) | 書き込み速度(ランダム) | 読み込み速度(シーケンシャル) | 読み込み速度(ランダム) |
---|---|---|---|---|
1回目 | 234.023 MB/s | 445.661 MB/s | 2217.377 MB/s | 2989.072 MB/s |
2回目 | 277.413 MB/s | 113.486 MB/s | 2647.377 MB/s | 2677.692 MB/s |
3回目 | 200.290 MB/s | 427.236 MB/s | 2728.782 MB/s | 2771.926 MB/s |