GCC開発者ら、GCCの開発にC++を導入することを決定、利用する機能を制限して複雑さを軽減

 コンパイラ「GNU Compiler Collection(GCC)」の開発者は5月30日、開発元のFree Software Foundation(FSF)とGCC Steering CommitteeがGCCでのC++利用を承認する決定を下したことを発表した。目的は「ユーザーに優れたコンパイラを提供するため」とし、「GCCをC++コードベースにすることが目的ではない」と説明している。

 GCCはCおよびC++、Javaなど多数の言語に対応するコンパイラ。GCCそのものはCで実装されているが、これからはC++による機能実装も許可される。ただし、C++に精通していないGCC開発者に配慮するため、利用するC++の機能に制限を設けるべきだとGCC開発者は記している。その後、適切だと判断されれば利用できる機能を拡充していくという方針を提案している。

 GCCの開発者であるMark Mitchell氏は制限の例として、1998年に制定された「ISO/IEC 14882:1998」(C++98)標準規格で制定されている機能および64ビット整数型である「long long」型のみの使用に限定し、C++の新しい標準規格として策定中の機能(「C++0x」と呼ばれている)を含むそれ以外の機能は使用しない、といった案を挙げている。また、多重継承やC++標準ライブラリ以外でのテンプレートの使用、例外処理などのC++の機能も「挑戦的すぎる」と述べている。

 また、C++導入の次のステップとして、C++でのコードを記述する際の「標準コーディングスタイル」を策定することも提案、ボランティア開発者を募っている。

GNU Compiler Collection(GCC)
http://gcc.gnu.org/