Firefoxタブ常用者のための最新エクステンションガイド

 Firefoxエクステンション(拡張機能)の数は増え続けている。前回、タブ関連のエクステンションについて書いたのは1年前だが、そのときには110種類ほどだった。Firefox 3.0との互換性確保のためにリライトを要するものも少なくないが、今やタブ関連のエクステンションは190種類を超え、選択の幅はさらに広がっている。基本的な機能、色分け、タブバーの配置、起動時の自動展開など、必要なものは何でもFirefoxアドオンサイトに行けば見つかるはずだ。

 タブ関連のエクステンションの大多数は、Firefoxのデフォルトのタブに機能を1つか2つ加えたものだ。たとえば、 Open Link in… は、新しいリンクをバックグラウンドまたはフォアグラウンドのタブで開くか、別のウィンドウで開くかを選べるようにするだけのエクステンションである。ちょっとした機能の追加という点では Tab History も同じで、新規タブで親のタブの履歴を継承できるようになる。そのため、以前の閲覧先を表示する際に親タブに戻らなくても済む。

  Group/Sort Tabs はもう少し力の入ったエクステンションだ。ホスト名や、開いた順または閲覧順に基づいてタブをグループ化してくれる。また、タブグループの境界に隙間を設けることもできる。タブに色を付けるエクステンション(後述)のどれかと組み合わせて使えば、特に効果的だろう。

 一方、もうひと工夫ほしいのが Informational Tab (情報化タブ)だ。ページ読み込みのプログレスバーのほか、ページのサムネイル表示や「閉じる」ボタンをそれぞれのタブに追加することで、タブを進化させようと試みている。プログレスバーと閉じるボタンはかなり便利だが、サムネイルは小さすぎてあまり役に立たない。デフォルトの設定を調整しても、やはりタブはサムネイルを表示するには狭すぎる。

 タブの改良として功を奏しているのが Find in Tabs Print All Tabs だ。それぞれのねらいはその名前からおおよそわかるだろう。Print All Tabsを使う際には、事前に少し注意して印刷したくないページを閉じておく必要がある。Find in Tabsは、Webでの調査にうってつけのエクステンションだ。Firefoxのデフォルトのページ内検索バーに追加されたオプションを選択すると、各タブのページ内検索の結果を示すサブウィンドウが現れる。検索にヒットした部分には、該当するタブがわかるようにタブ番号(左から順にカウント)またはそのページのお気に入り用アイコン(ミニアイコン)が表示される。

 基本的な機能を実装したエクステンションのなかで特に独創的なのが Tab Splitter だろう。これを使えば、Firefox画面を縦または横方向に分割して2つのページを同時に表示できる。どういうわけか2つ目のページにはFirefoxの標準とは異なる操作ボタンが並んでいるが、Tab Splitterによるページ間比較のしやすさは特筆に値し、タブを使わないブラウジングからタブブラウジングに進化したときと同じくらいのインパクトがある。

タブのカラーリング

 タブの色付けは、Firefox用アドオンではよく見かけるアイデアだ。 Aging Tabs では、タブを開いたままにしておくとその色が変わっていく。各タブの色は、そのタブを最後に閲覧または開いたときからの経過時間に基づいて変化する。反対に、 ColoUnREaDTabs を使えば未読のタブを強調表示できる。

 独自の方針に従ってタブに色を付けたければ、 FlagTab を試すとよい。このエクステンションでは、右クリックで現れるメニューから手動でタブの色付けができるほか、それぞれの色にカテゴリ名を与えることもできる。ただ、使える色が4種類に制限されている点が引っ掛かる。私の場合、大がかりな調査の実施を想定すると優に10色以上は必要になりそうだからだ。

 以前のバージョンのFirefoxでは、定番エクステンションの1つに ChromaTabs があった。Webページごとに適切な色の割り当てを行ってくれるものだった。現在、Firefox 3.0向けに ChromaTabs Plus の開発が進められているが、実験版に手を出したくなければ、代わりに Colorful Tabs が使える。こちらもそれぞれのタブに異なる色を与えるものだが、Aging Tabsと同様、開いてからの経過時間によって色が薄くなっていく。また、タブごとに背景の色を変えるオプションもある。よくできたエクステンションだが、コンピュータにおける自由を重視する人は使わないほうがよいだろう。2行にわたるColorful Tabsのライセンスは明らかにプロプライエタリなものだ。

タブバーの再配置

 Firefox 3.0のリリース以降、使えずに困っているエクステンションの1つに Vertigo がある。旧バージョンのFirefoxで、タブを横方向ではなく縦方向に並べてくれていたものだ。タブを縦方向に並べる利点として、サイズの調整によって各ページのタイトルを十分な長さで表示できること、各ページをツリー状(親リンクのすぐ下に子のリンクが並ぶ)に配置できることが挙げられる。

 こうしたメリットをFirefox 3.0でも活かせるようにしたのが Tree Style Tab (ツリー型タブ)だ。タブを開いたり閉じたりするときの表示および動作やコンテキストメニューの内容を変更したり、タブバーを自動的に隠したりするオプションが幅広く揃っている。特に便利なのが、タブバーをブラウザ画面の任意の側に配置できるオプションと、毎回指定しなくてもページを新しいタブで開くためのオプションだ。また、サブツリー内のすべてのページを一度に閉じたり、親タブを閉じる際に開いたままにしておく子タブを指定したりもできる。

 類似の機能は VertTabbar にも見られるが、こちらはまだ開発途上にある。

タブのスケジューリング

 毎日ネットに接続していると、決まって同じブログやコミック、あるいはニュースのサイトを最初に訪れることが少なくない。こうした作業は、フォルダ内のブックマークを整理してフォルダのコンテキストメニューから“タブですべて開く”を選択することで自動化できるが、それさえも面倒に思えることがある。

 こうした操作をさらに自動化してくれるのが Morning Coffee だ。このエクステンションを使えば、Firefoxの起動時にブックマークを自動的に開くことができる。毎日開くものだけでなく特定の日に限って開くブックマークも選択できるので、決まった曜日に更新されるコミックやブログもわざわざブックマークからクリックせずに済む。変化を付けたければ、その日開くブックマークの順序をランダムに変えることもできる。ほとんど同じような機能は、 Daily Bookmarks という実験的なアドオンにもある。

 Morning Coffeeの難点は、何十というブックマークをスケジューリングしようとすると設定に時間がかかることである。また、その際にFirefoxがクラッシュしてブラウザの再起動が必要になると厄介だ。

オールインワン型エクステンション

 ここで紹介したすべての機能を持つタブ関連のエクステンションは今のところないが、それに近いものとして Tab Kit がある。Tab Kitでは、横方向または縦方向のタブバー表示、タブのグループ化、状態(未読/表示中/保護)によるタブの色分けが可能であり、それぞれの動作は各種オプションを使って微調整できる。

 たとえば、タブを横方向に並べる場合は、複数行表示の設定にすることでスクロールさせずにより多くのタブを確認できる。一方、縦方向のタブバーでは、親タブの下に表示する子のタブのインデントレベルを設定できる。個々のタブについては、標準の幅や閉じるボタンの有無を設定できる。オプションの設定につまづいた場合は、「ツール」->「アドオン」でTab Kitの設定ダイアログを開き、リセット用のボタンを押せば、エクステンションをアンインストールしなくてもFirefoxをデフォルトの状態に戻せる。

まとめ

 ほとんどのFirefoxエクステンションと同様、タブ関連のエクステンションにも併用の難しさという問題がある。たとえば、Tree Style Tabsを有効にすると、Tab Historyが無効化される。エクステンションを追加すればするほど、そうした非互換性の問題も大きくなる。すべてのエクステンション開発者にほかのアドオンの存在を考慮したテストを期待するのは非現実的だ。とはいえ、そうしたトラブルシューティングの手間を何度か経験すれば、Firefoxを起動するたびに互換性をチェックしてくれる、Find in Tabsにあるようなオプションがほかのエクステンションにもほしい、とすぐに思うようになるだろう。そうしたオプションが広まらない限り、エクステンションの利用数が増えると問題に遭遇する可能性も高くなる。

 そういった点はさておき、Firefoxのタブ関連のエクステンションの人気の高さは一目瞭然だ。その状況は「自分のニーズに合うものが今は見つからなくても、来週になれば出てくるだろう」というレベルではない。どんなものがあるのかとWebで調べてみたら、それまでは想像だにしなかったがひと目見るなり「それなしではやっていけない」と思えるエクステンションがいくつも見つかるような状況だ。

Linux.comでは毎週月曜日に、未紹介のエクステンション、プラグイン、またはアドオンを取り上げている。これはと思われるものがあればご一報いただきたい。

Bruce Byfieldは、日頃からLinux.comに寄稿しているコンピュータジャーナリスト。

  Linux.com 原文(2008年12月1日)