スケーラブルでカスタマイズ可能なウェブメール、AtMail Open
AtMail Openは企業向けの完全カスタマイズ可能なAJAX駆動のウェブメールだ。Apache 2.0 Licenseの下で配布されている。AtMailはColdwell BankerやRed Hat Indiaのような有名企業でも使われているが、販売担当のバイスプレジデントCorey Bissaillon氏は、スケーラブルなためもっと規模の小さい企業でも使えると言う。「行政機関、大学、企業のほか、非営利団体やISPなどでも使われている。実際、ISPには好評だ。加工できるからだが、それはすべてのソースコードが入手可能だからこそだ」
AtMailは、インラインのスペル・チェック、アドレス帳の統合、HTMLを多用した電子メール作成機能などの評価が高い。同氏によると、AJAXベースのインタフェースは一部だけだが、それはやたらに使うべきではないからだという。「AJAXはまだ重い。だから、インライン・スペル・チェックなど、動きが滑らかになる場合やページ全体の書き換えを回避したい場合に限って使っている」
AtMail Openで最も人気の高い機能は(市販品にもあるが)、ビデオメールだ。AtMail Openのビデオメールは巨大なデータで膨れ上がるようなことはない。ビデオをFLV/Flash(ストリーミング)形式でエンコードし(そのアドレスを)電子メールの本文に埋め込むからだ。「要点はすべてがブラウザーベースだということ。録画のために何かをダウンロードする必要はない。追加のソフトウェアは不要だし、プラットフォームにもよらない。必要なのはウェブカムとマイクだけだ」(同氏)。録画したビデオはオープンソースのFlashサーバーRed5にアップロードされる。ビデオが埋め込まれたメールはAtMailの利用者ならそのままで見ることができるし、そのほかのメールソフトの利用者もリンクを使ってブラウザーでサーバー上のビデオを見ることができる。
同氏によると、同社が販売品のオープンソース版を提供することにしたのは顧客のニーズに対応するためだという。「当社の通常のウェブメール・インタフェースを購入しないケースを見ると、電子メール・システム一式を購入したばかりで、導入したいとは思ってもしゃれたウェブメール・インタフェースを新たに購入する予算がない場合や、バックエンドの電子メール・システムには満足しておりそれを補完するウェブメール・インタフェースを探している場合があった。そうしたニーズを逃さないよう、市販品に代わる低リスク低コストな無償オープンソース版を提供することにした」
20種を超える製品を検討した上でAtMailを選んだVerioのシニア・プロダクト・マネージャーCraig Vosburgh氏は次のように述べている。「現在は導入のベータ段階だが、顧客の反応はきわめてよい。オープンソース版の提供は素晴らしい。顧客に提供するアップグレードの道筋が広くかつ見通しのよいものになった」
ハワイ州教育省もAtMailを採用し、12,000ものメール・アカウントを管理している。同省ネットワーク支援部門のJeff Hara氏は、学生用電子メール・システムにAtMailを選んだ理由を次のように説明している。「(AtMailでは)仮想メール・ドメインを作り、それぞれを管理する副管理者アカウントを用意することができる。これを利用して、我々は各学校に仮想メール・ドメインとその副管理者アカウントを与え、学校レベルで生徒用の電子メールを作成・変更・削除できるようにしている」
同氏によると、このシステムを導入した当初、問題があったという。ただし、それはAtMailの問題ではなく、同省が運用するサーバーにLinuxとSolarisが混在していたためだ。「当初、4台のサーバーから成るクラスターでAtMailシステムを運用した。内3台はフロントエンド・ウェブメールとメールの処理用、もう1台はバックエンドのMySQLデータベース・サーバーだ。これはSAN接続されている。フロントエンド・サーバーはLinux、バックエンド・データベース・サーバーはSolaris 10だ。先だって、フロントエンドに2つのAtMailアプライアンスを導入しアップグレードした。この夏この構成にアップグレードしてからは実に安定している」
オープンソース版と有償版のウェブメール・インタフェースを提供するAtMailは、企業で使われる電子メール・サービスのバックエンドを管理するためのアプライアンスとサーバー製品も販売している。Bissaillonによると、AtMail Openは「オープンソース・コミュニティーへの恩返し」というだけでなく、将来必要になるであろうアプライアンスを見つけるレーダーになることを期待しているという。「簡単にカスタマイズできる完成度の高いソースコードは歓迎されるだろう。そうすれば、バックエンド電子メール・システムを入れ換える必要が出てきたとき、当社を思い出しきっと戻ってくると確信している」