ウィルコム、次世代PHSでMVNO向け説明会を開催、オープン戦略を強調
次世代PHSは上り・下りともに毎秒20メガビット以上の高速通信に対応するのが特徴。時速100Kmの高速移動でも利用できる。複数のアンテナでデータを同時に送受信する「MIMO」と呼ばれる技術を使うことでさらに速度を上げることもできるという。
基地局については16万局ある現行PHSの設備を活用。1つのエリアに集中的に基地局を建てる「マイクロセル」と呼ばれる方法を採用して、電波のつながり易さを確保する。開始当初は首都圏など、エリアが限られることから、現行PHSと併用してサービスを提供する。
09年4月に試行サービスを開始。10月には正式サービスに移行する計画。09年4月には人口カバー率57%でスタートし、12年度には94%まで広げる。試行サービス開始時はカード型のデータ通信用端末のみを販売。10年度以降にはスマートフォンなども投入する。
説明を行った平澤弘樹・執行役員常務ネットワーク技術本部長は「回線を束ねて通信速度を高速化する『マルチリンク』など、高速化技術は現行のPHSですでに実現している。次世代PHSでは変調方式の開発だけで済むため技術的に大きなハードルはない。また、マイクロセルによって、携帯電話のように混雑時に通信速度が落ちることなく、安定して毎秒20メガビット以上のスピードが出せる」と、技術の優位性を強調した。
回線貸し出しの手続きなどについては、今後2回の説明会開催を予定。利用を希望する事業者は今回の説明会をもとに回線の利用提供条件や提供形態などの意見をウィルコムに提出することになる。受付窓口はサービス開発本部次世代事業推進室で、4月にも設置する予定。
集まった意見を参考に、夏ごろに開催する第2回で機器同士のインターフェイスの概要、09年4月には提供条件を示す予定。同時に、ネットワークをはじめ、認証や課金などをMVNOが自由に設定できるようにするとして、「オープン戦略」を出席者にアピールした。
説明会後の質疑応答では、NTTが進める次世代ネットワーク(NGN)との連携やソフトバンクが進める家庭用の小型基地局(フェムトセル)の導入などについて、出席者が質問したほか、現行PHSを含めた受付窓口の一本化やPHSモジュールのオープン化の希望も出された。
平澤常務は「NGNとの連携は検討しており、フェムトセルについては次世代PHSで導入していく方針。そのほかの要望についてもMVNOの方々の利便性を考慮してなるべく対応していきたい」と話した。また、データ量が増加する次世代PHSを支えるために進めているバックボーン回線の広帯域化について、15年をメドに回線をすべて光ファイバー化する見通しを明らかにした。
ウィルコム=http://www.willcom-inc.com/ja/
提供:BCN