Adobe、HD動画配信対応の「Flash Media Server 3」を発表――H.264およびHE-AACエンコードを正式サポート

 米国Adobe Systemsは12月3日、Flash動画のストリーミング配信サーバ・ソフトウェアの新バージョン「Adobe Flash Media Server 3」を発表した。

 同製品は、WebパブリッシャーによるFlashアプリケーションやFlash動画の配信を支援するもの。新バージョンでは、H.264/MPEG-4規格の動画エンコードと、High Efficiency AAC(HE-AAC)規格のオーディオ・エンコードをサポートし、旧バージョンと比べて約5倍のストリーム処理を実現するなど、品質および圧縮率の改善が図られている。

 Flash Media Server 3は「Interactive Server」版と「Streaming Server」版の2つのエディションが用意される。Interactive Server版は、旧バージョンの「Origin」および「Edge」エディションを統合したもので、大規模なWebパブリッシャーやコンテンツ配信ネットワーク(CDN)を対象とする。一方、Streaming Server版は、配信に使えるサーバが1台に限定されるもので、今回の新版で初めて提供されるエディションとなる。

 AdobeのFlash Media Server担当製品マネジャー、Kevin Towes(ケビン・タウズ)氏は、Flash Media Server 3について、「導入コスト削減と性能強化を実現し、旧バージョンよりも少ないCPUでより多くのビデオを配信できるようにした」と説明する。

 価格は、Interactive Server版が4,500ドル(58万5,000円)、Streaming Server版が995ドル(12万9,400円)。出荷開始はいずれも2008年1月中の予定。

 Adobeによると、Flashは現在Web上で配信されている動画の約4分の3のエンコードに用いられているという。だが、同社がストリーミング配信市場でトップの座を維持するためには、たゆまぬ努力が必要となりそうだ。例えば、米国Microsoftは、Flashの対抗技術となるパブリッシング・プラットフォーム「Expression」の採用拡大に向けて力を入れており、競合ソフトウェアの多くをAdobe製品よりも低価格に設定しているほか、Flash Media Serverと同様の機能を備える「Expression Media Encoder」を無償でダウンロード提供している。

 ほかにも同市場には、米国Wowza Media Systemsをはじめ、FlashコンテンツやFlash動画を配信できる安価なソフトウェアを提供する競合会社がいくつか存在している。なお、Adobeの社長兼CEO、シャンタヌ・ナラヤン(Shantanu Narayen)氏は、今秋開催された開発者向けコンファレンス「Adobe Max」で、「Flash Media Serverの価格が採用の妨げになっているのであれば、価格調整することもやぶさかではない」と語っている。

(Eric Lai/Computerworld オンライン米国版)

米国Adobe Systems
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提供:Computerworld.jp