IT関連で読むに値する5冊の推薦図書
『 Geekonomics: The Real Cost of Insecure Software 』――TantricSecurityの社長を務めるDavid Rice氏により著された同書では、不安定なソフトウェアの存在が毎年数十億ドルものコストを企業サイドに費やさせているとの主張および、それを裏付ける驚くべき様々な証拠が紹介されている。具体的な事例として取り上げられているのは、例えば1996年に発生し70名の命を奪ったボーイング社製旅客機の事故原因はソフトウェア的な欠陥に起因するものであったことや、2005年に発生したトヨタ・プリウスが走行中に突然停止するため23,000台以上がリコールされた事件もソフトウェアの不安定性が原因であったことなどである。
同書の中でRice氏が指摘しているのは、インターネット接続されたコンピュータのうち正規ユーザが気づかないうちに外部から不正なアクセスやハッキングを受けたことのある数が、実に75%にも上るという複数の調査結果の存在だ。そして同氏はサイバーテロリズムの脅威が厳然として存在していることに警鐘を鳴らし、今後の増加が予想されるこの種の問題に対しては、企業などの組織側で取りうるいくつかの予防ステップがあると説明している (Amazon.co.jp、¥3,809)。
『 Using Moodle, Second Edition 』――学校の授業などでMoodleをコンテンツ管理システム(CMS:Content Management System)として使用しているユーザにとってお薦めなのが、O’Reilly Mediaから出版されている本書である。この本自身が教師に読まれることを想定して作られており、Moodleクライアントに装備されたすべての能力をユーザが余すことなく引き出せるよう配慮されている。
同書はマニュアル兼リファレンスガイドとして利用することが可能だが、それも著者であるJason Cole氏とHelen Foster氏の両名が、豊富なケーススタディ、ハウツー、ベストプラクティスを掲載してくれたおかげと言えるだろう。これら共著者について簡単に触れておくと、Cole氏は15,000以上のユーザが利用するMoodleの実装のサポートをした経験を有しており、Foster氏はMoodle.orgにてドキュメント類の管理を任されている。こうした経歴を有す2人の著者が協力して書き上げた同書を利用すれば、Moodleという非常に多機能なアプリケーションのすべてを把握することも不可能ではないはずだ (O’Reilly、$39.99)。
『 Zimbra: Implement, Administer and Manage 』――ZimbraはYahoo!に買収されたばかりのコラボレーションソフトで、オープンソース系の電子メール兼スケジュール管理クライアントとして利用できる。モバイルデバイスやオフラインでの利用に対応し、クロスプラットフォーム上で実行可能なZimbraは、雑多な組み合わせのコンピュータ群をネットワーク化したり、頻繁に外回りをする従業員を多数抱えている企業にとって特に有用なはずだ。
同書の構成はZimbraの概要を始め、そのインストレーションやメンテナンスおよびカスタマイズのヒントまでが網羅された11の章に分かれており、これらの情報を基にすれば、あらゆる環境において同アプリケーションをスムースに運用できるだろう。(Amazon.co.jp、¥6,930)。
『 Linux Networking Cookbook 』――Linuxがあらゆる面で優れた完成度に達しているのは揺るぎのない事実であるが、ネットワーク接続に関しては一筋縄でいかない場合もあることは素直に認める必要があるだろう。LinuxおよびWindowsのシステム管理者を務めるCarla Schroder氏が本リファレンスブックにて紹介するのは、スムースな接続態勢を維持する上でITスタッフが遭遇してきた共通度の高い問題とその対処法である。
本書で扱われているのは、Linuxでのネットワーキングで共通して発生するシナリオに対する“処方箋”であり、具体的には、シリアルコンソールを介したシステム管理、SSHを用いたセキュアなリモート管理、Asteriskを使ったVoIPの構築に必要な知識が説明されている。その他にも本書で追加的トピックスとして触れられている、Linuxネットワークでのゲートウェイやアクセスポイントの構築法や、バーチャルプライベートネットワーク(VPN:Virtual Private Network)の導入法など、ネットワーキングや接続性に関する情報も役立つだろう (Amazon.co.jp、¥4,676)。
『 Head First SQL: Your Brain on SQL — A Learner’s Guide 』――今からSQL能力に磨きをかけたいと考えていたり、新規スキルの習得に積極的なITスタッフが職場にいるという人間であれば、この本の購入を検討してみてはどうだろうか。データベース管理システムで広範に使用されているデータベース言語のSQLは、初心者にとっては非常に複雑なものと感じられるであろうが、本書の構成はそうした読者でも充分に理解できる作りとなっている。効率的なデータベース構築を扱ったこの分野の類書がいずれも何らかのプログラミング言語経験者を想定しているのとは対照的に、本書を読み進めるにあたって、その種の予備知識は基本的に必要とされない。
このようにSQLの基礎全般を解説(教材としてはフリーのMySQLパッケージを使用)することに主眼が置かれた同書であるが、リファレンスブックおよび復習用の参考書としての利用も可能である。本書の第1版はすでに書店に並んでいるが、この12月2日に改訂版がリリースされる予定である (Amazon.co.jp、¥4,712)。
ITManagersJournal.com 原文