Mozilla、「Firefox 3.0」のベータ1をリリース――特徴はGecko 1.9/ブックマーク・履歴管理機能/セキュリティの強化

 米国Mozillaは11月20日、Webブラウザ「Firefox」の次期バージョン「Firefox 3.0」のベータ第1版をリリースした。3.0では、新しいHTMLレンダリング・エンジン「Gecko 1.9」やブックマーク/履歴管理機能「Places」が利用可能になり、セキュリティも大幅に強化される。

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Firefox 3.0ベータ1のインストール直後の画面

 ベータ1は、Mozillaのダウンロード・ページから、Windows、Mac OS X、Linuxの各OS対応版/日本語版を含む各言語版を入手することが可能だ。Firefox 3.0はすでにアルファ版が公開されており、これまでに7万5,000人近くの開発者に試用されてきた。今回、ベータ第1版のリリースにより、 Firefox 3.0のコードはさらに多数のテスターの手に渡ることになる。

 「アルファ版からベータ版に移行するということは、(ユーザーが)常用するWebブラウザとして使用できるレベルまで、クオリティが高まったということを意味する。最終的な製品版のリリースに向けた前進だ」と、Mozillaのエンジニアリング担当バイスプレジデント、マイク・シュレーファー(Mike Schroepfer)氏はコメントしている。

 Schroepfer氏によると、追って、年内にはベータ第2版、2008年初頭にはベータ第3版をリリースし、2008年のいずれかの段階で製品版をリリースする方針だが、開発チームとしては、それまでに500万人前後のテスターによる試用を望んでいるという。

 Firefox 3.0の最大の変更点の1つは、「Places」と呼ばれる新機能により、ブックマーク(お気に入り)の作成方法と履歴の保存方法が刷新されている点だ。閲覧履歴はデータベースに保存されるようになり、ユーザーは自分がアクセスしたサイトを探すことがより容易になる。この点をSchroepfer氏は、「Placesの新しい仕組みのおかげで、従来よりはるかに大量の履歴を保存できるようになる」と説明している。

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新しいブックマーク/履歴管理機能「Places」の操作画面

 また、Firefox 3.0では、アドレス・バーにキーワードを入力するだけで、それまでにアクセスしたことのあるWebサイトとの関連性を調べられるようになっている。例えば、「2008年式トヨタ・プリウスの試乗レビュー」というWebページに最近アクセスしたことのあるユーザーであれば、アドレスバーに「プリウス」と入力するだけで、そのレビュー・ページを開くことができるといった仕組みだ。

 セキュリティ機能がさらに強化されている点も、Firefox 3.0の注目すべきポイントだ。同バージョンでは、Googleが公開している既知のマルウェア・サイトのデータベースとの統合により、危険性が疑われるサイトにユーザーがアクセスしようとした場合には警告が発せられるようになっている。

 また、 Firefoxのダウンロード・マネージャと、ユーザーが使用するウイルス対策ソフトウェアとの統合が強化され、ファイルをデスクトップにダウンロードする前の段階で、マルウェア・ファイルを特定することが容易になっている。さらには、安全性が不確かなサイトからは「アドオン」(Firefoxの機能拡張ソフトウェア)をダウンロードできないようになっているため、深刻なセキュリティ問題を引き起こしかねない行為を回避できる。

 ただし、初のベータ版ということで、不完全な部分も残っている。Firefox 3.0はHTMLレンダリング・エンジンの新版、Gecko 1.9を採用し、Web 2.0系サイト/サービスでよく見受けられるリッチ・ユーザー・インタフェースの表示がより高速になると言われているが、PCがインターネットに接続しているかどうかにかかわらずWebアプリケーションを動作させる方法については、開発者は依然として適切な方法を研究中であるという。

 「今すぐではないにせよ、いずれはFirefox上で、より高機能なWebアプリケーションが、より迅速に動作するようになるだろう」(Schroepfer氏)

(Robert McMillan/IDG News Service サンフランシスコ支局)

米国Mozilla
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提供:Computerworld.jp