企業で増大し始めたワイヤレス運用のセキュリティ・コスト――IT導入担当者の4分の3が支出増加を予想

 現在、企業の間でワイヤレス技術に対する不安が広がっており、多くの企業はセキュリティ対策のための支出が最大20%増加すると予想しているという。

 米国Cisco Systemsが、米国、英国、ドイツ、中国、インド、韓国、シンガポールのIT導入担当者700人に来年の支出計画について調査したところ、このような結果が出た。

 ワイヤレス/モバイル技術が原因でセキュリティ支出が増加すると回答した人は全体の4分の3に上っており、そのうち増加率を10%と予測する回答が半数、また20%と予測する回答も10%を占めた。

 なぜ今になって予算の増額が求められているのか。ワイヤレス技術はこれまで企業ニーズに支えられて普及が進んできたが、セキュリティ対策は後回しにされるという傾向があった。今、企業はようやくセキュリティにも本腰を入れ始めたという。中規模から大規模な企業にとって、20%の支出増は数十万から数百万ドルの負担増を意味している。

 調査リポートは、エンドユーザーのすべてが常に万全のセキュリティを意識しているわけではなく、モバイル端末を使う多くの従業員は、会社が認めてないワイヤレス・ネットワークに公共の場や自宅近くからアクセスしていると指摘している。「ワイヤレス端末のデータを暗号化してない人や、情報への物理的アクセスを防ぐパスワードを設定してない人も少なくない」

 ワイヤレス/モバイル端末の利用者が増えると、当然、紛失や窃盗の数も増加する。米国企業を対象とした調査では、紛失した端末を補充するため予算を増やす必要があると答えた割合が25%にも上っているという。

 セキュリティ・コストを増やす要因として挙げられたのは、ネットワークとデバイスの保護だけではない。それらが適切に保護されていることを独立機関を通じて証明することを義務づける“コンプライアンス(法令順守)”も要因として挙げられている。

(ジョン・ダン/Techworld オンライン英国版)

米国Cisco Systems
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提供:Computerworld.jp