Webサーバ市場、MicrosoftのIISがApacheを激しく追い上げ――フォーチュン1000企業は圧倒的にIIS支持
それによると、長年シェア第2位の座に甘んじてきた米国Microsoftの 「Internet Information Services（IIS）」サーバが、シェア第1位の「Apache」サーバを激しく追い上げており、早ければ来年にも首位が逆転する可能性があることが明らかになった。
2007年8月の時点でIISを利用しているWebサイトは、先月よりも260万件増の4,386万サイトだった（市場シェア34％）。一方、Apacheの市場シェアは51％と半数を占めているものの、利用サイトは先月よりも99万件減の6,515万サイトとなった。
また、ドメイン名の登録だけで実際には利用されていないWebサイトを除いた、アクティブWebサイト数は、Apacheが2,851万件（市場シェア48％）、IISが2,132万件（同36％）だった。
Netcraftは今回の調査結果について、「IISが現在のペースでシェアを拡大すれば、2008年中には首位が逆転する可能性もある」とコメントしている。
ApacheはNetcraftが1995年に調査を開始して以来、常に首位の座に君臨していた。2005年11月のアクティブWebサイトの市場シェアは、 Apacheが71％だったのに対し、IISはわずか20％だった。こうした状況から、米国Oracleの創設者であるラリー・エリソン氏は当時、「ApacheのおかげでIISは消えたも同然だ」とコメントしていたほどだった。
企業のWebサーバだけを見ると、「IIS優勢」という状況はいっそう色濃くなるようだ。
IIS対応のツールや拡張機能を開発する米国ポート80ソフトウェアは、「フォーチュン1000」企業のみを対象に、Webサーバの利用状況に関する調査を行っている。それによると、IISを利用している企業は全体の55％、Apacheを利用している企業は全体の25％にとどまっているという。
同社でセールス／マーケティング・ディレクターを務めるクリス・ネッペス氏は、Windows Server 2008に搭載されるIIS 7.0の登場で、今後多くのユーザーが、ApacheからIISに移行すると予測している。
同氏は「IIS 6.0までのIISは、設定が複雑なうえ、サードパーティ製のコンポーネントを利用しにくいという欠点があった。それにもかかわらず、IISはApacheよりも利用されている」と指摘したうえで、「IIS 7.0はIISが抱えていた問題をすべて解消している。また、IIS 7.0は『Server Core』にインストールできるので、Webサーバ管理者の作業負担は激減するはすだ」と語った。
Server Coreは、Windows Server 2008から追加されたインストール・オプションである。特定の機能の実行に必要なコンポーネントだけをインストールできるため、管理者はプログラムやコンポーネント数に応じて、効率的なメンテナンス／更新を行うことが可能となる。
ちなみにフォーチュン1000企業のうち、IIS 7.0（ベータ版）を利用しているのは、Microsoft1社だけだという。
ただしネッペス氏は、「IIS 7.0がすぐに普及するとは考えていない」と明言する。
ポート80が行った過去の調査によると、フォーチュン1000企業がIISをアップグレードするタイミングは、新版がリリースされてから3年後ぐらいだという。
「2003年に登場したIIS 6.0（Windows Server 2003に搭載）の市場シェアが、IIS 5.0（Windows 2000/XP Proに搭載）の市場シェアよりも大きくなったのは、2007年になってからだ。IIS 7.0の普及にも、そのぐらいの時間を要するだろう」（ネッペス氏）
(エリック・レイ／Computerworldオンライン米国版)
英国Netcraft
http://www.netcraft.com/
提供：Computerworld.jp
