VMmark:仮想環境のベンチマーク

 アプリケーションソフトウェアの性能のベンチマークを行なうための従来の手法は、かなり単純なものだった。すなわち、単一のアプリケーションを実行し、その性能を測定し、結果を分析し、それらを必要なだけ繰り返すというプロセスだ。ところが様々なアプリケーションを実行する複数の仮想マシンを実行した状態のベンチマークを取ろうとすると、プロセスは面倒になりデータの正確さも低下してしまう。しかしVMwareはVMmarkによって、そのような問題を解決したいと考えている。VMmarkは、ハードウェアの購入や負荷分散についてIT部門の適切な意思決定の手助けを目的とした仮想環境のベンチマークツールだ。

 システム管理者は、安定していて信頼性の高い仮想環境を構築しようとする際、様々な要素を考慮する必要がある。何人のユーザがシステムを利用するのか? データを取り扱うのにどれくらいの量のディスクやメモリが必要なのか? 使用する各オペレーティングシステムとそれぞれの要求仕様は? さらに計画担当者は、仮想ハードウェアの割り当てについても考慮する必要がある。というのもメールサーバのようなアプリケーションと、例えばCMSとでは要求するものが異なるためだ。

 仮想環境がビジネスの現場でも使用されるようになるのにともない、様々な組み合わせのハードウェア/アプリケーションの性能が導入後にどうなるかを予測するのはますます困難なことになってきた。クライアント用ソフトウェアやサーバ用ソフトウェアや多数の特殊用途向けアプリケーションなどが入り交じり、仮想環境の性能を判断しにくい状況になっている。しかし、管理者が十分に情報を得たうえで購入を決定し、導入後のトラブルを回避するためには、性能についての正確な情報を得ることはきわめて重要だ。

 VMwareのエンタープライズ・技術マーケティング担当上級ディレクタAndrea Eubanks氏によると、VMmarkのリリース以前には 「顧客は以前は、性能を測定しようとする際、仮想環境の『オーバーヘッド』を測定するといったようなことをしていた。(しかし)『オーバーヘッド』の測定をしても、仮想環境の性能を判断しようとするには不適切な基準にしかならない。というのもオーバーヘッドは、一台のマシンの上で動く複数の仮想マシン上で実行される企業向けアプリケーションの性能測定基準として代表的なものでも現実的なものでもないためだ」という。

 しかし今ではITマネージャは、VMmarkを利用して独自にベンチマークを実行し、自社での仮想環境の使用を想定したデータを得ることもできれば、仮想環境のベンチマーク標準を業界内で打ち立てるためにVMwareと提携したハードウェア/ソフトウェアベンダが用意した報告を見ることもできるようになった。

 Pund-IT社の主任アナリストを務めるCharles King氏は取材に対し、VMmarkや今後登場すると思われる同種の製品が「広く受け入れられる」と予測していると述べた。同氏はまた、VMmarkは、企業の仮想環境ソリューションがまだ計画段階にあるときに特に便利なツールだとした。「仮想環境のベンチマークの結果によって、VMwareを導入する企業は、自社のビジネスアプリケーションを支えるために必要となるハードウェアリソースをより正確に把握することができるようになるはずだ。さらに、サーバの過剰な導入や導入不足を防ぐのに役立つため、経費を節約したりアプリケーションの性能を確実に最適化することができるだろう。VMmarkに匹敵するソリューションを提供しているVMwareのライバル企業はなく、また、技術的な複雑さやテスト・プロセスの複雑さを考えると、VMmarkにはx86用仮想環境のベンチマークとしてデファクトスタンダードになる可能性が十分にあるだろう」。

IT Manager’s Journal 原文