Debianの未来を位置づけるDebConf 7――新DPL、Sam Hocevar氏の講演

 先週スコットランドのエジンバラで開催されたDebConf 7Debianコンファレンスでは、400人近い参加者が何年間にも渡ってオンラインで共に作業した仲間たちと実際に会って親交を深めた。参加者は、新旧DPL(Debian Project Leader)による近況に関する講演から、イギリス本土を東西に横断してビュート島まで遠出するグループ旅行まで、100を越える様々な講演やイベントに出席した。

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 コンファレンスの間はずっと、自分が管理/使用するプログラムの詳細な点や改善方法などについて議論するDebian開発者たちのおしゃべりがあちらこちらで聞かれた。またノートPCを開いて、その場で修正が行なわれることもあった。

 コンファレンス自体は、由緒ある街エジンバラのオフィス街からほんの数分南に下ったところにあるテヴィオット・ロー・ハウスで開催された。会場にはいくつかのプレゼンテーション/会議用の部屋があり、すべての部屋には講演内容を記録するためのビデオカメラが設置されていた。

 DebConf 7は、コンファレンス運営チームからの歓迎の挨拶と、新旧DPLによる近況報告に関する講演で開幕した。

 前DPLのAnthony Towns氏はオーストラリアから出席し、同氏がDPLとして過した期間の思い出話から講演を始めた。Towns氏によると、DPLとしての最初の1ヶ月間は「DPLになるというのはどんな感じか?」というような、まだ自分でも答えが分かっていなかった質問をするメディアのインタビューに答えるだけで終わってしまったと述べた。そしてその後のDPLの役割は主に、決議案の議論と資金の割り当てだったとのことだ。

 その後Towns氏は2ヶ月前に着任したばかりの、フランス人の新DPLであるSam Hocevar氏を紹介した。Hocevar氏は今後のDebianで実現したいことに話を進め、Debianには、デスクトップ・コンポーネントのすべてを統合して、よりセクシーでより効率的なディストリビューションになって欲しいと述べた。

 さらにHocevar氏は、Debianの品質保証チームはライセンス準拠だけでなく、ソフトウェアの品質にも重点を置くべきだと続けた。例えば各パッケージには適切なマニュアルページがあるべきとのことだ。またDebianはより短いリリースサイクルを目指すべきだとも述べた。

 効率性という点に関してHocevar氏は、DPL選の際にも述べた通り「自分でできることはDebianの各チームに頼らないようにする」ようにして欲しいと述べた。また「ページの編集は大胆に」というWikipediaの方針を引き合いに出して、何かをする必要があるなら、とにかくそれを実行するべきだと述べた。

 またHocevar氏は、各開発者は作業をDebianプロジェクト内の他のメンバーに作業の手順や注意事項が分かるように進めて欲しいとも述べた。そうすることによって、開発者が万が一隕石に当たったり結婚したりするようなことがあっても、他の開発者がその作業を引き継ぐことができるとのことだ。Hocevar氏は、短いリリースサイクルを目標としているので、比較的短期間の活動停止であっても大きな影響が出ることがあると警告した。

 Hocevar氏はまた開発者に対し、Ubuntuやその他のディストリビューションで行なわれた作業の一部をDebianにも取り込むようにして欲しいと述べた。Debianの方が優れていると思っているからというだけの理由で、彼らの作業を無視することは良くないとのことだ。

 さらにHocevar氏は、Debianにはより良いコミュニケーションが必要であるとした。そしてその手段として、自分がやっていることをdebian-devel-announceメーリングリスト上で発表したり、将来的に利用/参考にしてもらうために作業をすべてパブリックな場所に置いたりすることを推奨した。また、他のディストリビューションにおいて実装されているパッチを調べて、利用できる場合には利用し、Debianをフリーソフトウェア全体とともにより優れたものにして欲しいと述べた。

 その後に行なわれた質疑応答ではHocevar氏は、パッケージ管理についての技術的なノウハウがDebian開発者になるための必須条件であるべきではないと指摘した。例として、翻訳者たちは開発において重要な役割を果たしているが、その作業においてパッケージ管理自体が重要な部分を占めるわけではないと説明した。

 長い質疑応答セッションが終りに近付いた頃、Debianのガバナンスを改革するということについてどう思うかという質問があった。それに対してHocevar氏は、これまでのところDPLとして圧倒されるほどの負担は感じておらず、DPLチームのようなものの必要性も特に感じないということを明らかにしたが、ただこれについては今後考えが変わる可能性もあると付け足した。

NewsForge.com 原文