「OracleやMicrosoftには負けない」――Red Hat CEO、好調な決算を受けて強気の姿勢を鮮明に

 米国Red Hatの会長兼CEO、マシュー・ズーリック氏は3月29日、好調に終わった同社第4四半期決算(2月28日締め)を受けて、競争が新たな段階に入ってもビジネスを有利に展開できることが裏付けられたと強調した。

 同社の第4四半期の売上高は、1億1,110万ドルを記録し、7,870万ドルだった前年同期に比べ41%増加した。

 Red Hatとライバル各社との競争は、このところ厳しさを増している。

 昨年10月には、Oracleがオープンソース・ソフトウェアを利用している企業向けにRed Hatよりも低料金のサブスクリプション・サービスを発表したほか、Microsoftも、提携関係にあるNovellのLinuxディストリビューションに搭載されている機能をWindowsと連携させる取り組みを開始している。

 Red Hatの大幅な売上げ増は、このような厳しい状況下で達成された。

 ズーリック氏は、IDG News Serviceとのインタビューで、これまでのところ成長が減速する気配はないと強調し、新規顧客を第4四半期中に1万、会計年度を通じて4万4,000獲得したと付け加えた。以下、インタビューの概要を紹介する。

――あなたはOracleの取り組みやMicrosoftとNovellの提携が第4四半期の決算に及ぼした影響は皆無だと説明している。しかし、Oracleは、ヤフーなど、Red Hatの顧客だった26の企業がOracle Unbreakable Linuxを採用したと発表しているが……。

 ヤフーの幹部からは、当社が重要な戦略的パートナーであり、今後も当社との歴史的かつ実践的な関係を強化し続けるという説明を受けている。ヤフーは、社内の全システムをOracle製品に置き換えたわけではなく、一部のOracleデータベース・サーバにOracle Linuxをインプリメントしたにすぎない。

――しかし、ヤフー以外にも25の企業がOracleに移ったとしている。これらの企業でOracle製品に置き換えられたのがシステム全体なのか、一部なのか把握しているのか。

 当社が調査した結果、すべてとは言わないが、その大部分は、当社の製品を全面的に置き換えたわけではないことが判明している。われわれが第4四半期だけで1万の新規顧客を獲得したという事実からも、われわれのビジネスのほうが好調なのは明白だ。

――今後もOracleやMicrosoft/Novell陣営に対抗し続ける必要性を感じているか。

 1998年以来、当社は、最も成功を収めている世界最大のOSベンダーと競争してきた。われわれは、強力なライバルと競争しながら、価値を提供するという社風を確立しており、競争に勝ち抜くために、これからも顧客重視の姿勢を貫いていくつもりだ。純粋なオープンソース・ベンダーである当社は、開発モデル、サービス能力、経済モデルの総合力を駆使して、これからも優れた製品を顧客に提供し続ける。

――Oracleの戦略は、製品間の相互運用性の強化を図っているMicrosoft/Novell陣営とも明らかに異なっている。対策が必要なのは、こちらのほうではないか。

 私は、およそ30年間このビジネスに携わっており、Microsoftが相互運用性の向上に取り組んでいるという話を幾度も耳にしてきた。したがって、Novellと提携したといっても、顧客の満足度が向上し、異機種環境で成功を収めることができるとは思えない。唯一の答えは、特定のベンダーに偏らない標準を確立し採用することだ。(MicrosoftやOracleが)世界中でどれだけマーケティングにお金をつぎ込んだとしても、特定ベンダーに偏らない標準こそが高度な相互運用性を実現するという真実をゆがめることはできない。

(ロバート・マリンズ/IDG News Service サンフランシスコ支局)

米国Red Hat
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提供:Computerworld.jp