Intel、次世代プロセッサ「Penryn」の製造を年内に開始――45nmプロセスで、AMDに一歩リード
サンフランシスコで開催した記者会見に臨んだ同社のデジタル・エンタープライズ・グループ・ゼネラル・マネジャー、パット・ゲルシンガー氏は、今年中にPenrynの製造を開始することは、われわれの戦略である「tick-tock」に対応するもので、重要な意味を持つと強調した。tick-tockは、プロセッサ・アーキテクチャのアップグレードと、回路パターンの微細化を1年おきに更新するという戦略である。
Penrynは現行の「Core 2」シリーズである「Core 2 Duo」と「Core 2 Quad」の後継製品となる。45nm製造プロセスと「high-kメタルゲート」トランジスタを使用することで、リーク電流の削減と低消費電力を実現する。ちなみに、high-kメタルゲートはライバルであるIBMも採用を表明しているが、IBMは具体的にどのプロセッサに同技術を採用するかについて明らかにしていない。
Intelでは、Penrynのクロック周波数は3GHzを上回る予定としている。また、同プロセッサは現行のCore 2 Duoと比較して、オンチップ・メモリが50%増強されており、これまでよりも多くのデータを読み込むことが可能で、PCのメイン・メモリからデータを引き出す時間が大幅に短縮されると強調する。
なお、Core 2 Duo版では6MBのL2キャッシュを、Core 2 Quad版では12MBのL2キャッシュをそれぞれ搭載する予定だ。さらにフロント・サイド・バス(FSB)も現行の1,333MHz/1,066MHzから1,600MHzに向上させ、アプリケーションの処理能力を現状よりも45%向上させるとしている。
ゲルシンガー氏は、「これらの改善により65nmプロセスで製造されたプロセッサよりも25%小さいスペースに2倍の性能を持つプロセッサを組み込むことが可能となった。また、消費電力も同等、もしくはそれ以下に抑えるられる」と強調する。なお、現在Intelが投入を予定している45nmプロセスで製造されるプロセッサは15種類となった。
また同氏は、2008年にリリース予定のCoreマイクロアーキテクチャ「Nehalem」(開発コード名)についても言及した。
Nehalemは、それぞれのコアに2つのコンピューティング・スレッドを割り当てることにより処理能力を向上する技術を採用している。例えば、8コアプロセッサであれば、16のスレッド処理が可能となり、並列アプリケーションで高い性能を実現できる。
さらにNehalemでは「内蔵メモリ・コントローラ」も使用される予定だ。これはAMDが2003年に発表した「Direct Connect Architecture」に採用された技術であり、FSBをメモリ・コントローラに統合するというものだ。
ゲルシンガー氏は同技術の採用がAMDの計画と類似することを認めたうえで、「このトレンドは、技術革新の時流の中では当然の帰結であり、他のベンダーも同時期に同じ結論に至ったということすぎない」とコメントした。
(ベン・エームズ/IDG News Service ボストン支局)
Intel
http://www.intel.com/
提供:Computerworld.jp