レビュー:Dreamlinux 2.2

 Linuxディストリビューションを選ぶとなると、Ubuntu、SUSE、Fedoraなどといった大手に拘る傾向がある。しかし、時折登場する新鮮で楽しいLinuxを見せてくれるディストリビューションも選択肢の一つに加えてはいかがだろうか。Dreamlinuxは、そうしたディストリビューションの一つだ。MorphixをベースとしたLinux実装で、1枚のCDから起動することも、ハードドライブにインストールすることもできる。Dreamlinux 2.2には一通りのデスクトップ・アプリケーションがあらかじめ用意されているだけでなく、プロ級のメディアを簡単に制作できるマルチメディア・ツールも豊富に揃っている。

 Dreamlinuxのインストールは簡単だ。基本的な構成の場合、システムの推奨条件は、RAM 128MB以上、ハードドライブの空き容量3GB、プロセッサー500MHz以上。ハードウェアによっては、CDから起動するようにBIOSの設定を変更する必要がある。ハードウェアはすべて自動的に検出されるが、何らかの理由により検出できなかった場合は、起動に必要なオプションに絞りその一覧を表示する。この場合、それ以外のオプションはインストールの際に調整・設定することになる。また、インストールの際は、英語とポルトガル語のいずれかを選択するよう求められるが、「ほかの言語でインストールする方法」も用意されている。

 システム起動後、ライブCDのまま使い続けることも、フルインストールすることもできる。試用したいだけなら、ライブCDで十分だ。機能の多くについて動作を確かめたり、USBストレージ・デバイスにデータを保存したりできる。

 すべての機能を使ってみたいならフルインストールがお勧めだ。XGL 3Dインタフェース――最新のグラフィックス・カードを使ってX Window System上に素晴らしいグラフィックスを創り出す――を使いたい場合はフルインストールが必須。XGLはハードドライブにインストールしなければ機能しないからだ。ハードドライブへのインストールは、コントロール・パネルにあるHD Install――相応しい名前だ――で行う。

クリックすると大きな画像で見られます

 デフォルトのウィンドウ・マネージャーはMac OS X環境を範とするXfceだ。その最たるものはアプリケーション・パネルで、Enlightenmentの単体版Engageによって管理される。アプリケーションは、OpenOffice.org 2.0.4とFirefox 1.5、メール・クライアントにはIcedove(ノーブランド版Thunderbird)、インスタント・メッセージングにはaMSN 0.97と、平均的な利用者を想定したものが用意されている。

 マルチメディアに対するサポートは再生だけでなく、制作についても充実している。音楽の再生にはXMMS、CDの演奏や読み出しにはGrip、録音にはAudacity、ビデオの編集にはKino、モデリングにはBlender、グラフィックの基本的な操作にはGimpShopがあらかじめインストールされている。マルチメディア・サポートというとおり、MP3とDVDの再生に必要なコーデックはすべて設定済みで、すぐに使うことができる。こうした点から、マルチメディア・システムならDreamlinuxがお勧めだ。

 現代のLinuxディストリビューションと共通する点が多いが、特徴となるツールもいくつかある。中でも目を引くのは、Mkdistroだろう。Dreamlinuxプロジェクトの創始者の一人Nelson Gomes da Silveiraが開発したもので、ディストリビューションの配布用ISOイメージを制作・リマスタリングする4つのシェル・スクリプトから構成され、技術的知識がなくても自分専用のLinuxディストリビューションを編集・デザイン・制作できる。開発者がMorphix流の理念――システムはできるだけモジュラーにし、エンド・ユーザーが変更できるように作るべし――を採用する理由は、この点にありそうだ。

気になる点

 多くの点で夢のようなソフトウェアだが、完全無欠というわけではない。登場してから比較的日が浅いため、コミュニティーはまだ発展途上にある。開発者がブラジル人であるため、言語の壁によってコミュニティーが分断され気味なところも問題だ。

 実際に試用してみて気の付いた点を挙げておこう。その一つは、システムを最初に立ち上げたときにインターネットの接続が自動的に構成されなかったこと。これは、新しい利用者を遠ざけてしまうかもしれない。グラフィカル・インタフェースを使って接続することはできる。しかし、自動的に構成し、それを変更する必要が生じたときにのみGUIを使うという方がより効率的だ。また、aMSNがときどき正しく動作せず、起動さえしないこともあった。インスタント・メッセージング・クライアントのGaimをダウンロードして使ってみたが、こちらには問題はなかった。

 こうした課題はあるが、Dreamlinux自体は外観も動作もよい。自分のシステムは自分の手でと考える利用者にとって、Mkdistroツールは有用だろう。インストールも使い勝手も概して容易で、平均的な利用者でも問題なくダウンロードしインストールして使うことができる。

NewsForge.com 原文