PCのリモート診断を可能にする新しい管理標準「DASH」が登場--電源オフや起動不可のPCにも対応

 新しいPC管理技術の開発が進んでいる。標準化団体DMTF(Distributed Management Task Force)によると、電源がオフになっていたり、起動できなかったりするマシンについても、この技術を使えばリモート操作でOSを起動し、診断や修理などを行えるという。

 このPC管理技術はDASH(Desktop and mobile Architecture for System Hardware)と呼ばれるもので、3月22日にDMTFが発表した。

 DMTFのプレジデントを務めるウィンストン・バンプス氏は22日、「DASHにより、PCの管理コストを引き下げることができる。DASHを導入するよう、コンポーネント・ベンダーやハードウェア・ベンダー、管理ソフト・ベンダーに促したい」と語った。すでに、AMDやDell、IBM、HP、MicrosoftなどがDASHへの支持を表明している。

 DASHは、DMTFが仕様をまとめたWeb Services for Management(WS-Management)を利用する。「このWebサービス管理技術により、フラッシュ・メモリに保存されているハードウェア・コンポーネントや周辺機器の状態情報を、管理ソフト側から引き出せるようになる」と、バンプス氏は説明する。

 AMDの部門マーケティング・マネジャー、ラース・エウェ氏によると、従来の管理ソフトや監視技術の大半は、PC上で稼働するソフト・エージェントが送り返してくる状態情報に依存しているという。しかし、そもそもPCが起動していないときは、そうしたソフト・エージェントを利用することはできない。

 これに対してDASHの場合は、障害が原因で起動できないPCにも対応する。「経験豊富な管理者なら、DASHを使ってOSの状態を診断し、OSの標準イメージを使って遠隔ブートを行うことも難しくないはずだ。DASHでは、コンセントから電源コードが抜かれていないかぎり、ハードディスクの不具合をチェックしたり、PCを起動させてPOST BIOSテスト・データを読み込んだりすることが可能だ」と、エウィ氏は語っている。

 たとえPCを遠隔操作で修理できなかったとしても、修理の際に必要となる情報をDASHによって収集できる。DMTFのバンプス氏によると、DASHは、サーバ・マシン上で同様の機能を実現するSMASH(Systems Management Architecture for Server Hardware)に似ているという。

 DMTFは、3月27日からサンディエゴで開催される「Microsoft Management Summit 2007」において、DASHのデモンストレーションを行う予定だ。

 バンプス氏は、今後6カ月から12カ月の間に、DASH機能を搭載したPCが相次いでリリースされるとの見通しを示している。その後、DASHは急速に普及するというのが同氏の見方だ。「2003年に登場したASF(Alert Standard Format)は、現在では数千万台のPCで使用されている。それを考えれば、DASHが広く使われるようになるのに、そう時間はかからないだろう」(同氏)

 今のところ、WS-ManagementやDASHは、ISO(国際標準化機構)の標準として承認されているわけではない。だが、将来的にはISOに提案する可能性もあると、バンプス氏は語っている。

(エリック・レイ/Computerworld オンライン米国版)

DMTF http://www.dmtf.org/

提供:Computerworld.jp