追跡:Linuxのインストールで失われた保証の行方

 Laura BreedenさんがCompaqブランドのノートPC、Presario C304NRを新しく買い求めたのは1月のことだ。彼女が新しいノートPCの購入に踏み切ったのは、Windowsとそれを巡るすべてのマルウェアから逃れてLinuxに移行したいと思ったものの、以前のノートPCにはUbuntu Edgyを実行できるほどのメモリとCPUパワーがなかったからだ。購入先の店員はC304NRが「Linux対応」だと請け合ってくれた。だが、Linuxを実行すると保証が無効になるとは説明してくれなかったのだ。

 最近まで、彼女はこのノートPCとUbuntu Edgyに満足していた。しかし、2週間前からキーボードに問題が出始めた。タイピングの速度を上げると挙動がおかしくなるのだ。押したキーが戻らなくなり、スペースキーを押しても反応しないことがある。

 このノートPCには1年間の保証期間があったのでCompaqに電話をかけると、使っているオペレーティングシステムを尋ねられた。Linuxですと答えた彼女に向かって返ってきたのは「申し訳ありませんが、Linuxを動作させている場合はハードウェア保証の対象外になります」という言葉だった。保証サービスを受けるには、Linuxを削除して元々入っていたOSを再インストールしなければならないというのだ。

 彼女はソフトウェア技術者ではなかったが、Linuxを選んだこととノートPCのキーボードが壊れたことに何らかの関係があるとは思えなかった。また、CompaqのC304NRのWebページにも、Windowsの代わりにLinuxのような信頼できる安全なオペレーティングシステムを入れた場合に保証範囲内のサービスが受けられなくなる、というこの問題に関する記述は一切見当たらなかった。

 このノートPCを彼女が買い求めたBest Buyは、購入時に年会費200ドルのメンテナンス契約も結んでもらおうとベストを尽くした。しかし、わずか549ドルのノートPCに200ドルのメンテナンス費用は高過ぎるし、Compaqの保証もあるのだから、と彼女は考えてこのメンテナンスサービスには入らなかった。

 2週間にわたってHewlett-Packardのカスタマサービスの渉外担当者とこの問題について交渉を続けたが、この担当者は「できるだけのこと」をしてくれようとしたという。LinuxがプレインストールされたHPのノートPCとの交換という話も出たのだが、その話は行ったり来たりで2週間たった今も状況は何も変わっていない。

 「その渉外担当者は、ノートPCの保証書に記されたすべての条項を苦労して確認した後、私にこう言いました。『お客様が直面し得るすべての問題を予期することは不可能なので、起こり得るすべての状況を保証書の条項に列挙することはできません。通常、お客様が別のOSをインストールする場合、PCに大きな影響が及ぶので保証は無効になります。ただし、今回の場合、OSがノートPCキーボードのキーの不具合を招いたとは考えられないので、例外として扱いたいと思います』」。彼女はまた、Compaqの「保証書の条項がこの業界の他社のものと同じ内容」だとも主張している。

 私も、その点に関する彼女の主張は正しいと思っている。同様の状況になったときの保証範囲について問い合わせたのだが、GatewayとDellの両社は取り合ってくれなかった。DellやHPのような一流企業は、Microsoftとの市場協定に関わるダブルブラインドな秘密主義に凝り固まり、顧客が求めるLinuxプレインストールマシンの供給や、OS未インストールマシンの供給さえ控えているありさまなのだ。

 おそらく彼女の問題は、ノートPCを返品して全額を返金してもらうか、最初からLinuxの入ったノートPCに交換してもらうかして、満足のいく結末を迎えるだろう。だが、もっと大きな問題は、Microsoftの魔の手によって明らかに自由市場に歪みが生じ、依然として一流企業がMicrosoftの企てに従って共謀を続けていることだ。

NewsForge.com 原文

この記事に対するHPからの回答