成長のカギはSolarisにあり――サンCEO、主力OSの普及拡大に意欲

 米国サン・マイクロシステムズのCEO(最高経営責任者)、ジョナサン・シュワルツ氏は、3月6日に開催されたモルガン・スタンレー主催のアナリスト会議で、Solarisのユーザー数を増やしていくことが同社にとって成長のカギになると力説した。

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米国サン・マイクロシステムズのCEO、ジョナサン・シュワルツ氏

 シュワルツ氏はまず、この数カ月間で700万本以上のSolaris 10がダウンロードされ、そのうちの70%がサン以外のハードウェアで使用されていることを明らかにした。

 同氏によると、これまでの実績を基にすれば、IBMやヒューレット・パッカード(HP)、デルなどのハードウェア上でSolarisを使用しているIT部門は、マシンをリプレースする際にサン製品を購入する可能性が高いという。そのため、同氏はSolarisを使ってもらうことが、サンが成長していくうえで重要だと強調。「Solarisユーザーを増やしていけば、いずれ製品の売上げに結び付く」と述べた。

 スコット・マクニーリ氏(現会長)に代わってCEOに就任したシュワルツ氏がリストラ計画を発表してから、まもなく1年になる。シュワルツ氏によると、サンは昨年だけで従業員4,000人のリストラを断行しており、今後も人員を削減する予定だが、解雇は行わず自然減のみにとどめるという。同社は現在、およそ3万8,000人の従業員を抱えている。

 1年以上前から赤字が続いていた業績も、2007会計年度第2四半期決算(2006年12月31日締め)で久々に黒字を計上。売上高は前年同期比7%増の35億6,000万ドル、純利益は1億2,600万ドル(1株当たり利益は3セント)となった。

 モルガン・スタンレーなど各社のアナリストは、サンの第3四半期決算についても、売上高が34億2,000万ドル、1株当たりの利益が1セントになるとの見通しを示している。一方、トムソン・フィナンシャルがまとめた2007会計年度決算に関するアナリストの平均予測値は、売上高が148億8,000万ドル、1株当たりの利益が10セントとなっている。

 さらに、KKRプライベート・エクイティ・インベスターズLPはサンに7億ドルを出資しており、非公開投資会社コールバーグ・クラビス・ロバーツ&Co. KKRの公開取引ファンドもサンの役員会にディレクターを推薦する予定だという。シュワルツ氏は、KKRの出資を受けることで、KKRが投資している他の企業に対するマーケティングのチャンスが開けると語った。

 リストラが一段落した今、サンはサーバ・ベンダーとしての輝きを取り戻しつつあるようだ。データセンターの重要性が増すなか、同社ではすでにラックマウント型サーバの出荷台数がタワー型サーバのそれを上回っており、ブレード・サーバがラック・サーバを抜く日も近いという。

 また、サンは「Project Blackbox」を年内に出荷する計画だ。Project Blackboxとは、全長20フィートの運送用コンテナに設置されたデータセンターで、コンテナごと顧客のサイトに運ばれて運用される。

 満場のアナリストを前に、シュワルツ氏はProject Blackboxのねらいについて、こう語った。

 「ラック・サーバは、データセンターで作業する人々のために最適化されている。しかし、IT管理者がデータセンターに最も入れたくないのは人間だという。ピンを曲げる、プラグを蹴るなど、よからぬことをいろいろとするからだ。この市場が長期的に発展していけば、総体的に標準化された形態のデータセンターが実現するはずだ」

(ロバート・マリンズ/IDG News Service サンフランシスコ支局)

米国サン・マイクロシステムズ
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提供:Computerworld.jp