デル、四半期決算で大幅減益――ナスダック上場廃止の可能性も再浮上

 米国デルは3月1日、2007年度第4四半期(2月2日締め)決算の速報値を発表した。それによると、純利益は前年同期の10億ドルから6億7,300万ドルへと大幅に減少する見通しだ。

 1株利益は0.30ドルとなり、トムソン・ファイナンシャルが集計したアナリスト予想平均の0.29ドルをわずかに上回るものの、売上高は144億ドルで、アナリスト予想平均の148.8億ドルおよび前年同期実績の152億ドルをともに下回る。

 デルが四半期決算を、米国証券取引委員会(SEC)への提出が義務づけられている報告フォーム「10Q」ではなく、速報値として発表するのは、今回で3四半期連続となる。デルは決算を速報値として発表した理由について、SECとニューヨーク州南部地区連邦検察局から会計調査を受けているためと説明している。

 正式な決算報告を行わなかったことで、デルはナスダック市場から上場廃止となる可能性もあるとする見方が再浮上している。ナスダックはデルに、3月14日までにフォーム10Qを提出するよう要求しているからだ。デルによると、ナスダックは2月28 日、同社に猶予を認め、5月4日の追加ヒアリングまで、踏み込んだ措置を保留することにしたという。

 今回の決算発表は、1月にマイケル・デル氏がケビン・ロリンズ氏の後任としてデルのCEOに復帰してから初めて行われたが、同社の経営陣は、慣例となっていた報道記者やアナリストとの電話会見を行わなかった。また、2007年度の通期決算も発表しなかった。会計調査の結果、収益を再計算する必要が生じた場合、過去3四半期の速報値が変わる可能性があるからというのがその理由だ。

 デル氏は決算発表の声明で、第4四半期の業績が不本意であったため、社員へのボーナス支給を一部取りやめたが、これが四半期営業利益が1億8,400万ドルに増加する要因になったと説明している。しかし、このプラスの効果は、会計調査への対応に8,900万ドルの費用を投じたことでかなり相殺されたという。

 デルが抱える法的な問題は、同社の決算に長期的に大きな影響を与える可能性がある。デルは1日にSECに提出した書類の中で、「当社はさまざまな補償請求や訴訟、調査、そのほかの法的手続きに対応している。将来、裁判所から下された判決や、和解時の条件によって、業績やキャッシュフローに悪影響が生じる可能性もある」と説明する。

 デルの第4四半期決算では、販売パターンの大きな変化が見られた。それは、創業以来初めて、米国外でのコンピュータ販売台数が米国内での販売台数を上回ったことである。売上高では、全体に占める米国内売上高の割合が54%を占めたが、この割合は低下し続けている。

 また、同社の最も大きな製品分野であるデスクトップPCとノートPCの両方で売上高が減少を記録した(販売台数はデスクトップPCが前年同期比18%減、ノートPCが同2%減)。ただし、サーバ、ストレージ、サービス部門の増収がこの減少を一部補った。

 デル氏は、業績の回復に向けて企業改革を継続し、経営チームの強化と無駄の排除を進めると強調する。また、製品開発サイクルを短縮すると同時に、製造/流通モデルの改善によって新興市場の多くの顧客を獲得することを目指しており、この戦略によって、同社は「デル2.0」に生まれ変わるとしている。

 だが同氏は、こうした変革がすぐに利益につながるわけではないとも説明する。

 デルは声明の中で、「業績改善に向けた改革の取り組みに力を注いでいるが、今後数四半期は、その施策を実施・強化する過程で成長と利益率が圧迫される状況が続く」との見通しを示している。

(ベン・エームズ/IDG News Service ボストン支局)

米国デル http://www.dell.com/

提供:Computerworld.jp