Krugle、オープンソースによるオープンソースのためのコード検索エンジンを提供
Krugleは、コード検索エンジンと開発者コミュニティーから構成されている。コード検索の対象は約80,000のオープンソース・プロジェクトで、そのプログラム言語は数十種に及ぶ。さらにSafariのオンライン・プログラミング・ブックにあるコード・スニペットさえ調べることができる。Krugleの創立者でCTOのKen Kruglerによると、この検索エンジンを他と分ける特徴の一つはコラボレーション機能が組み込まれていることだという。「コードにコメントを付けたり、Webページとコード・ファイルをひとまとめにしたり、それを『コード・スペース』に入れたりすることができます」。Krugleのメンバーはそうした情報を共有できるので「同じ開発を繰り返」さずに済む。
Krugle自体も、ほぼ完全なオープンソースだ。120台のサーバーはFedora Coreで運営されており、Krugleクローラーの拡張と維持管理には多くのオープンソース・ツールが活用されている。エンジンの基礎はNutch――Yahoo!が2006年の早い時期から使っているエンジン(そして、多額の資金を注ぎ込んでいる)――で、コモディティー・クラスター上で検索エンジン・アプリケーションを実行するのに最適なオープンソース・フレームワークHadoopを利用している。Kruglerによると、Nutchにコードを提供する必要はなかったが、Hadoopには幾つかのカスタム・イベント・トラッキング機能を追加するために資金を提供したという。
Kruglerがソースコード検索エンジンについて考え始めたのは2005年のことで、オープンソースPIMプロジェクトChandlerに国際化の専門家として参加し、OSSに触れた後のことだった。「私もあのソフトウェアがほしかったので参加したのですが、そこで2つのことに気づきました。一つは、オープンソース・ソフトウェアというものがどれほど役に立ち、どれほど速やかに開発されているかということ。もう一つは、探しものを見つけるのがどれほど難しいかということです」
「開発者のための検索エンジンというのはなかなか興味深いし、あれば便利だろうと思いました。友人と話していたときのことですが、開発者たちにとって最強のツールはコード検索機能だと聞かされたことがあります。コード検索について考え始めたのは、そのときです」
コード検索がそれほど強力なツールになる理由を、Kruglerは次のように考えている。「信じられないほど高い効果を持つ情報が得られるからです。検索しただけでコードを書き下ろしたりデバッグしたりする必要がなくなれば、時間的にも資金的にも大助かりです。素晴らしいでしょ」。Kruglerが自分のネットワークにいる開発者をざっと調べたところでは、コード検索の回数は平均で月間200回程度あるという。
このビジネスはオープンソースを基盤としているため、立ち上げには「2、3千ドル」しかかからなかったが、その後行った2回の資金調達では投資家を説得する必要に迫られた。Kruglerは、収益可能性のある企業の設立に「知的財産権」と「防衛能力」は必須ではないと説明した。「オープンソースは基盤です。その上にプロプライエタリなアドオンを書くことは可能です」
Krugleは無償で検索エンジンとフォーラムを提供し広告で収益を得ているが、その一方でこの検索技術の商用版も販売している。「機能は同じです。単に、企業のファイアウォールの内側に置かれるというだけのことです」。Kruglerによると、既存コードベースと衝突する可能性のあるライセンスでリリースされているコードを除外するなど、検索を制限することもできるという。
Kruglerによると、自社内でもKrugleを使って製品そのものを改善しているという。「この仕事の面白いところですね」
オープンソースを利用して起業しようと考えている人は、自分がどのような世界に入ろうとしているのか考えるべきだろう。Kruglerは次のように述べている。「通常は、専門知識が必要です。ほとんどの場合、商用製品のようなレベルのサポートは得られないからです。技術的知識に乏しい人の場合は相談できる人と一緒に仕事をするか、いつでも問い合わせ可能なサービスを確保しておく必要があります。『技術についてはよくわからないのですが』と質問する人をよく見かけますが、それでは厳しいでしょう」
「とは言うものの、多くの起業家にとっては、オープンソースの利用が成否の分かれ目になるでしょう。もし利用できれば所要資金を大きく抑えることができますから。他の方法では起業は不可能という場合もあるでしょうね。ソフトウェアを変更する必要がある場合、ベンダーに頼れば多くの資金と長い時間が必要になりますから」
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