Red Hat Enterprise Linuxの新版がRed Hatの地位を盤石にする——金融アナリストが分析
W.R.ハンブレクトの金融アナリスト、ロバート・スティムソン氏は、2月2日に米国レッドハットの幹部と会合を持ち、2月5日にその報告書を提出した。その中で同氏は、「エンタープライズLinuxの市場ではベンダー間の競争が激化しているが、Red Hatが最も有力なベンダーであることに変わりはない」と記している。
Red Hatの株価は、OracleがRed Hat Enterprise Linuxのサポート料金をRed Hatのそれよりも低価格で提供すると発表した2006年10月に、27ドルから急落した。さらに、翌11月にはMicrosoftとNovellの提携が発表され、両社がSUSE Linuxのサポートを行うと明言したため、Red Hatの株価はさらに落ち込み、15ドル前後となってしまった。
しかしスティムソン氏は、「こうした株価下落は一時的なものであり、Red Hatの事業基盤にはまったく影響がない」と見ている。なお、2月5日付の同社の株価は22ドル54セント(終値)だった。
W.R.ハンブレクトは、Red Hatの2007会計年度決算は、売上高が4億160万ドル、1株当たり利益が51セントになると予測している。ちなみに、2006会計年度の売上高は2億7,830万ドル、1株当たり利益は39セントだった。
スティムソン氏は、Red Hat Enterprise Linux 5の特徴として仮想マシンモニタ「Xen」の搭載を挙げる。同氏によると、Red Hat Enterprise Linux 5上でXenを稼働させるのに必要なサーバCPUの使用率は3〜4%程度であり、20%以上を必要とするVMware製品よりも高いパフォーマンスを発揮するという。
また、スティムソン氏は、Microsoft/Novell連合がオープンソース・コミュニティから強い反発を受けていることも、Red Hatには“追い風”だと指摘する。
同氏によると、Microsoftとの提携が発表された後、ファイルサーバ「Samba」の開発に携わっていた5人の技術者がNovellを退社し、そのうちの4人がRed Hatに移籍したという。
Samba の開発者であり、Microsoftとの提携に抗議して昨年12月にNovellを去ったジェレミー・アリソン氏は、「Microsoftとの提携は、オープンソース・ソフトウェアの代表的なライセンス・モデルであるGPL(GNU General Public License)の趣旨に反している」と語っている。
(ロバート・マリンズ/IDG News Service サンフランシスコ支局)
米Red Hat
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提供:Computerworld.jp