オラクル、他社製DBとの互換性を強化した「SQL Developer」の新版をリリース
オラクルのSQL Developer担当上級主任製品マネジャーであるスー・ハーパー氏によると、SQL Developer 1.1の開発にあたり、前バージョン(SQL Developer 1.0)に対する顧客からのフィードバックを反映させることに重点を置いたという。
SQL Developerは、SQLやオラクル独自のPL/SQL言語でコードを記述したり、そうしたコードをデバッグしたりするのを支援するビジュアル開発ツールである。新バージョンのSQL Developer 1.1では、他社製データベースとの互換性が強化され、マイクロソフトの「SQL Server」や「Access」、オープンソースの「MySQL」といった非オラクル製品との連携が可能になっている。
また、オラクルは同ツールのさらなる改良に取り組んでおり、今年後半にリリース予定の次期バージョンでは、サードパーティ製のデータベースに保管されているオブジェクトおよびデータの一部もしくは全部をオラクル製品へ移行できるようになる見込みだ。
バージニア州ハーンドンに拠点を置くドメイン名登録サービス企業、ネットワーク・ソリューションズは、昨年3月以来SQL Developerを使用しており、バージョン1.1へのアップグレードもすでに済ませている。同社では、データベース開発チームに所属する総勢40名の開発者全員がSQL Developerにアクセスできる環境が整えられており、そのうち15〜20名は同ツールを頻繁に利用しているという。
ネットワーク・ソリューションズは以前、クエスト・ソフトウェアの「Toad」を使っていた。同社でデータベース・エンジニアリング部門の上級ディレクターを務めるドミニク・デルモリーノ氏は、コストの問題と特殊なニーズを考慮してToadからSQL Developerへ移行したと説明する。
「Toadが採用しているユーザーごとのライセンス体系はコストが高くついた。また、われわれの開発チームは、どんな機能でもとにかく詰め込むという Toadの方針を疑問に感じていた。そのため、当社はToadに代わる安価なソリューションを探していた」(デルモリーノ氏)
Oracle DatabaseとMySQLを併用している同社にとって、SQL Developerがバージョン1.1でオラクル以外のデータベースに対応したことの意味は大きい。デルモリーノ氏も、同社の開発者が1つのツールから両方のデータベースにアクセスできるようになったことを「大きな進歩」と評価している。
また、これに加え、コードおよびオブジェクトを直感的に参照できるようになったことなどから、「SQL Developer 1.1の全般的な洗練性は以前より増した」と同氏は述べている。
SQL Developer 1.0(開発コード名:Project Raptor)をリリースする以前、オラクルはCUIベースの「SQL Plus」を提供してはいたものの、ビジュアルなデータベース・アプリケーション開発ツールは持っていなかった。その後、SQL Developerのバージョン1.0をリリースし、1.1の提供を開始した今では、オラクルにとってツール事業は重要な柱の1つとなっている。デルモリーノ氏も「ツール分野におけるオラクルの進出はめざましい」と語り、オラクルが同事業に本腰を入れ始めたことを歓迎している。
SQL Developerのユーザーは、「SQL Developer Exchange」と呼ばれるオラクル直営のWebサイトも利用できる。同サイトでは、開発者が新機能に対する要望を提案したり、そうした要望を評価したり、自作のコードを交換したりすることが可能だ。オラクルの開発者によるブログや、SQL Developerに関するニュースおよびアップデート情報なども掲載されている。
ハーパー氏によると、オラクルは今年後半にSQL Developerのバージョン1.2もしくは2.0をリリースする予定だ。次期バージョンでは諸機能の調整が行われ、「Oracle Database 11g」に搭載される機能も盛り込まれることになる。
(チャイナ・マーテンス/IDG News Service ボストン支局)
米国オラクル http://www.oracle.com/
提供:Computerworld.jp