MicrosoftのOfficeが韓国で販売停止の危機──特許訴訟敗訴で

 11月27日付けのメディア各社の報道によると、韓国の大法院(最高裁判所)は先週24日、韓国航空大学のリ・キュンハエ教授が1997年に取得した特許を無効にするよう求めたMicrosoftの訴えを退けた。これにより、今後同国の店頭からOfficeが撤去される可能性も出てきた。

 この決定は、リ氏および同氏の代理人となっているP&IB社の立場を強化するものだ。フランスのAFP通信によると、P&IBは、リ氏の特許を侵害しているとして2000年にMicrosoftを提訴した。

 P&IB代表のキム・キルヘ氏は、Microsoft側の訴えが退けられたのを受け、同社を相手取って起こしている訴訟でP&IBとリ氏が損害賠償を獲得し、リ氏が特許を持つ技術を使用しているOfficeバージョンを販売差し止めにするチャンスが広がったとする見通しを示したという。リ氏とP&IBは、700億ウォン(およそ7,500万ドル)の損害賠償を求めている。

 一方、Microsoftは、広告会社を通じて電子メールによる声明を出し、韓国でOfficeの販売が中断されるような事態は予想しておらず、特許侵害訴訟に対して前向きに取り組むと表明した。

 リ氏とP&IBは、韓国語と英語の間でOfficeの入力モードを自動的に切り換える技術に関するリ氏の特許を侵害したとして2000年にMicrosoftを訴えた。これに対し、Microsoftも、リ氏の特許を無効にするために別の訴訟を起こした。両者の法廷闘争は、控訴裁判所に舞台を移して続いていた。

 韓国では、この特許訴訟以外にもMicrosoftを相手取った訴訟が起こされている。今年5月には、Media PlayerおよびIM(Instant Messaging)プログラムをWindowsに搭載する行為が韓国の独占規制法に違反しているとして、これらのプログラムを搭載しないWindowsのバージョンを販売するよう命じる判決が下された。

 Microsoftトは、欧州の反トラスト法訴訟でも苦戦している。2004年3月、欧州委員会は、EU(欧州連合)域内で競合他社との公正な競争を促すため、Media Playerを搭載しないWindowsを販売するよう命じた。また欧州委員会は、WindowsベースのPCと円滑に相互運用可能なサーバ製品を設計できるようにするため、ライバルのサーバ・ソフトウェア・ベンダーに情報を提供することも命じている。

 Microsoftは、現在も欧州委員会との法廷闘争を続けており、EU競争法違反に関する決定に従っていることを裏付ける文書を提出し続けている。欧州委員会は今年7月、この決定に従っていないとして3億5,700万ドルの制裁金を科しており、定められた期限までに決定に従っていることを実証できない場合には、さらに日額300万ドルの制裁金が科される可能性もある。

(エリザベス・モンタルバノ/IDG News Service ニューヨーク支局)

提供:Computerworld.jp