オープンソース・コミュニティ型の開発手法を積極採用するIBM

 米国IBMは現在、ピアレビューやオープン・グループ参加といったオープンソース・コミュニティの手法を用いて、オープンソース・ベースの商用ソフトウェア製品の開発に注力している。

 「売上高900億ドル超のIT企業が、いったいなぜ本来無料で入手できるソフトウェアに興味を持つのか。答えは、そこに巨大なビジネス・チャンスがあると見るからだ」と、同社オープンソース戦略担当マネジャー、アダム・ジョランズ氏は、11月7日にドイツで開催された「Open Source Business Forum」コンファレンスで述べた。

 ポツダム市で開催された同コンファレンスのステージに立ったジョランズ氏は、オープンソース開発者が用いるコミュニティ方式のソフトウェア開発の長所を称賛した。「社内にもすぐれた人材が大勢いるかもしれない。だが、実際には、社内よりもはるかに多くの優秀な人間が社外に存在する」(ジョランズ氏)。

 ジョランズ氏は、オープンソースは、ソフトウェア開発者やユーザー、その他のパートナーからなり、拡大し続ける「オープン・コミュニティ」の重要な一部であるとし、同氏は、人々や企業を結びつけるインターネットが普及した今、業界全体がこの方向に向かっていると強調した。

 しかし、オープンソースに課題がないわけではない。何かがうまくいかない場合、CIOやITマネジャーはだれに電話をすればよいか。また、だれがすべてのソフトウェアをまとめあげるべきなのか。ジョランズ氏は、「特にサポートは重要だ。CIOは確実性を求めている」と述べた後、サポートと統合という2つの課題は、オープンソース・ソフトウェアを商用製品として販売するベンダーとSIerの両者にとっては、ビジネス・チャンスを意味するものだと語った。

 オープンソース・コミュニティは現在のところ、米国と欧州の開発者たちによって占められているが、次の人材の大波は東欧とロシア、中国からやってくるかもしれない。「これらの国々には非常に聡明な若い頭脳が存在する」とジョランズ氏。「しかも彼らは共同作業という考え方を好む」

 このOpensource Forumは1日の会期で、ポツダムのハッソー・プラットナー・ソフトウェア・システムズ・エンジニアリング学院とIBM、ドイツテレコムが共催した。ドイツSAPの共同創業者で、億万長者として知られるハッソー・プラットナー氏は、同学院のほか、ソフトウェア起業家に初期段階の投資を行うベンチャー資本部門のハッソー・プラットナー・ベンチャーズ・マネジメントをポツダム市に設立している。

(ジョン・ブラウ/IDG News Service デュッセルドルフ支局)

提供:Computerworld.jp