IBM、次世代サーバ・チップ「Power6」のクロック周波数は5.0GHz
IBMによると、同チップは高いクロック周波数にもかかわらず、線幅65ナノメートル(nm)プロセスによる微細構造、75GB/秒で動作する高帯域幅バス、0.8ボルトの低しきい値電圧によって加熱を防いでいるという。
IBMのPower6担当チーフ・エンジニア、ブラッド・マクレディー氏は、「Power6は、2007年中旬に出荷開始する予定で、2〜64プロセッサの強力なサーバを導入するユーザーを主なターゲットとしている」と説明した。
現行のPower5設計のクロック周波数を倍増することで、IBMは省電力化のために処理性能を犠牲にするという最近のチップ設計の流れに逆行する構えだ。マクレディー氏によると、浮動小数点をソフトウェアではなくハードウェアで計算するなどの改良によってチップの効率化を図り、消費電力を抑えたとしている。
同社では、Power6を投入することで、金融や、航空機設計、自動車の衝突シミュレーションといったハイ・パフォーマンス・コンピューティング(HPC)分野におけるPower5チップの典型的ユーザーに加え、商用データベースやトランザクション処理方面の新規顧客も獲得できると期待している。ただし、IBMがビジネスを勝ち取るには、Intelのデュアルコア版Itanium 2(開発コード名:Montecito)プロセッサや、SunのハイエンドSPARCプロセッサと競争しなければならない。
Power6が約束どおりの性能を示せば、IBMはこの取り組みに成功するかもしれない、とアナリストらは分析している。米シリコン・インサイダーの首席アナリスト、ジム・ターリー氏は、「IBMは、科学計算や画像処理、気象予報、防衛といったハイエンド業務向けの大型サーバ市場で生き残っている、Intelの数少ない代替選択肢の1つだ」と指摘している。
なお、IBMは今年2月に、大型データベース、ERP(Enterprise Resource Planning)およびCRM(Customer Relationship Management)システムのユーザーをターゲットに、現行のミッドレンジUNIXサーバに搭載するPower5+プロセッサのクロック周波数を1.9GHzから2.2GHzにアップグレードしている。同社は、Power6では動作周波数4.0GHz〜5.0GHzの複数モデルを出荷する予定としている。
(ベン・エームズ/IDG News Service ボストン支局)
提供:Computerworld.jp