Ajaxの名付け親、その利点とリスクを指摘──AJAXWorldリポート

 ITコンサルタントのジェシー・ジェームズ・ガレット氏は10月3日、米カリフォルニア州サンタクララで開催中のイベント「AJAXWorld Conference & Expo 2006」(10月2日〜4日)の基調講演で、Webアプリケーション開発技術である「Ajax(Asynchronous JavaScript + XML)」は、適切に使用しないと危険な目に遭うと警告した。同氏は『Ajax』の名付け親とされている。

 米アダプティブ・パスの設立パートナーで、同社のユーザー・エクスペリエンス戦略担当ディレクターを務めるガレット氏は、Web上で非同期の相互作業が可能になるといったAjaxの主な利点を強調したうえで、すべてのケースに適用できるわけではないと指摘し、Ajaxを乱用するリスクを、ローラースケートで走り回る行為にたとえた。

 同氏は、多くの人々が、Web上でよりダイナミックなコンテンツのナビゲーションを実行できるようにしようとAjaxの導入を検討しているが、そうした機能は既存の技術である程度実現できると主張し、「Ajaxを使うことで『戻る』ボタンが使えなくなるといった問題も出始めている」との警告を発した。

支持を集めるAjax

 調査会社の米エバンズ・データは、同イベントでAjaxの利用に関する調査結果を発表した。それによると、現在、約170万人の開発者がAjaxを使用しているという。また、評価作業を行ったり、導入を計画したりする人も約190万人存在するとしている。

 同イベントに参加した米アドビ システムズのシニア・テクノロジー・エバンジェリスト、クリストフ・コエンレーツ氏は、「アドビが提供するFlexおよびFlashプラットフォームは、Ajaxに取って代わったり、競合したりするものではない」と強調した。また、同氏は、アドビが現在開発を進めている「Apollo」技術についても言及し、同技術はオフラインでFlexとFlashアプリケーションを稼働させて、ローカル・リソースへのアクセスを実現するものだと説明した。

 そのほか、米ジャックビーは、SOA(サービス指向アーキテクチャ)とWebサービスをベースにした企業向けAjaxアプリケーションの開発プラットフォーム「Presto REA(Rich Enterprise Application)」を発表。今年11月に同製品のベータ版をリリースし、2007年第1四半期に正式出荷するという計画を明らかにした。

(ポール・クリル/InfoWorld オンライン米国版)

「AJAXWorld Conference & Expo 2006」
http://ajaxworldexpo.com/

提供:Computerworld.jp