Microsoft Exchangeを超えるZimbra
Zimbraの機能は電子メール、カレンダー、アドレス帳といった従来のメッセージング・コンポーネントを超えており、リリース4.0にはMicrosoft ExchangeにはないVoIP機能とモバイル同期機能のほか、Microsoft SharePointに匹敵するドキュメント・コラボレーション機能もある。
Zimbra 4.0にはドキュメントを作成するための「wiki風」編集環境があり、200種類以上のドキュメントを表示専用のHTML形式で閲覧できる。これには便利さだけでなく、セキュリティー上の利点もある。ドキュメント自体でなくクリーンなHTML形式で表示するのでウィルスの心配がないのだ。
ExchangeにはSharePointがバンドルされることが多くなっているため、これからのグループウェア・アプリケーションはMicrosoft SharePointに匹敵するドキュメント機能を持つ必要があるのだという。実際、Exchange 12はSharePointと「緊密に統合」されるだろうと、Dietzenは予測している。
Zimbraは、サードパーティーが機能を追加できるようSOAPバインディングも提供している。これもExchangeにはない特徴だ。カスタマー・リソース・マネジメント(CRM)や統合業務パッケージ(ERP)と統合したり、Yahoo! Mapsのようなウェブ・アプリケーションにリンクしたりできるという。
大企業での採用も
Zimbraはホスティング型ソリューション・プロバイダーを対象の一つにしているが、そうしたプロバイダーにとって機能が追加できることは重要だ。また、Exchangeは、Zimbraが得意とする複数ドメインや委任ドメインの管理が不得手なため、ホスティング型ソリューション・プロバイダーはZimbraにとって有利な市場だという。
登場してまだ間もないZimbraだが、驚いたことに、H&R Block、Voxel dot Net、San Mateo Regional Networksなど、多くの企業で大規模に使われている。Zimbraは、総勢50人の中小企業から数百万ユーザーを抱えるホスティング型ソリューション・プロバイダーにまで対応できるという。
デュアルCPUのサーバー1台で50,000人のウェブ・ユーザーの同時利用に十分耐えられるそうだ。Zimbraは、エンド・ユーザー側はWindows、Mac OS X、Linuxに対応しているが、サーバーはLinuxまたはMac OS Xでだけ動作しWindowsには対応していない。利用者にとってはこれがネックだ。
現在Zimbraを利用するには、利用者――特に中小企業の利用者――の期待を若干超えるLinuxの知識が必要だ。ZimbraのWindows版を求める声もあるが、同社としてはWindows版ではなくZimbra搭載機を提供する計画だ。ハードウェアの出荷に関心はないものの、「Windowsシステムの管理はしたくないがLinux技術はないという顧客には」Zimbra搭載機という形で対応したいのだという。
大きな成功を収めている同社だが、Microsoft Exchangeに肩を並べるには「さらに拡販していく必要があるのは明らか」だ。Zimbraの有償ユーザーは、現在、約200社。オープンソース版Zimbraを使っている企業がどれほどあるかはわからないが、数千件と推定されるという。
Zimbraの弱点はSarbanes-Oxley法とHIPAA法への準拠機能が若干弱いこと。また、企業が必要とするほとんどの機能があるが、Exchangeなどの既存メッセージング・ソリューションのためのサードパーティー・プラグインがない点も弱点だという。
Zimbraはオープンソースとして利用できるが、Zimbraの開発はほとんど社内で行われているという。社内で開発を始めたのは、コミュニティーがZimbraの開発に参加してくれるだけの「十分な量のコードを用意する」必要があったからだそうだ。この意味で、Zimbraの開発モデルはLinuxカーネルやApacheなどのコミュニティー主導プロジェクトとMySQLのような企業主導プロジェクトの「中間」に当たるという。
Zimbraの開発の多くは今でも社内で行っている。しかし、コミュニティーの開発者たちには「いろいろな参加の道」を用意するよう努めており、Zimbraの開発に積極的に参加するコミュニティーは社内の開発チームよりも規模が大きいという。Zimbraコミュニティーはローカライズやテーマや追加機能Zimletsの開発に貢献していると、Dietzenは賞賛している。
ZimbraがExchangeからシェアを大きく奪うことができるかどうかは、まだ不透明だ。しかし、確かな足がかりを得たと思われる。
NewsForge.com 原文