イーソル、マルチコアプロセッサ対応のT-Kernel評価版を提供開始
イーソル(本社:東京都中野区)は2006年9月8日、マルチコアプロセッサ対応T-Kernel「eT-Kernel Multi-Core Edition」の評価版の提供を開始したと発表した。英ARMのマルチコアプロセッサ「MPCore」に対応し、民生エレクトロニクス機器、車載機器、モバイル機器、OA機器などの組み込み用途を想定している。
MPCoreは「ARM11」コアベースをベースとするマルチコアプロセッサで、SMP(対称型マルチプロセッシング)とAMP(非対称型マルチプロセッシング)の両方のソフトウェア構成をサポートする。
eT-Kernel Multi-Core Editionは、MPCoreの両モードを利用可能で、SMPとAMPのそれぞれのメリットを提供できるという。また、T-Kernel標準APIのほか、POSIX 1003.1, 2003準拠のAPIを搭載し、UNIX系OSからの移植性を高めた。「T-Engineフォーラム」(会長:坂村健東京大教授)が標準化したマルチプロセッサ対応のMP T-Kernel仕様に準拠する。
あわせて、開発環境の「eBinder」もマルチコア対応に拡張した。シングルプロセッサの使用時と同じタスク単位の反復型開発モデルを使いながら、個々のコア上で実行されるプログラムのデバッグや、協調動作するプログラム間やシステム全体の解析などが透過的にできるという。ARM RealViewコンパイラが付属する。
eT-Kernel Multi-Core Edition製品版は年内に出荷の予定。また、POSIX準拠などの一部機能についてはシングルコア版へのフィードバックを検討しているという。【鴨沢 浅葱/Infostand】