Oracle、Webアプリ開発ツールの新版を無償で提供開始

 米Oracleは8月29日、無償のWebアプリケーション開発ツールの新版「Oracle Application Express Release 2.2(以下、Apex 2.2)」を正式に発表し、今後同ツールの提供に力を注いでいく考えを示した。

 同社は、かつて提供していたApex同様の機能を持つ開発ツール「Web DB」とApexとを対比させたい考えだ。Web DBの機能強化はすでに停止されており、早い段階で実質的に葬り去られている。

 これまで「Oracle HTML DB」と呼ばれていたApex 2.2は、プログラミング経験の少ないユーザーでも、Oracleデータベースに格納されている情報を使って安全なWebアプリケーションを構築、導入、管理することができる。Oracleのソフトウェア開発担当バイスプレジデント、マイク・ヒクワ氏によると、今回製品名を変更したのは、ツールの機能を正しく理解してもらうためだという。

 HTML DBの最初のバージョンは2004年2月にリリースされたが、ヒクワ氏によると、Apex 2.2は4番目のリリースになるという。同氏はこれまでWeb DBとApexの設計に深くかかわってきた。

 「われわれはWeb DBを葬り去ったのではなく、機能強化をやめただけだ。しかし、ユーザーには謝らなければならない。今後再びこのようなことを計画的に行うことはない」とヒクワ氏は強調した。

 Oralceのツール部門を退職後、ITコンサルティング会社米国サマー・テクノロジーズの共同設立者としてビジネスを展開しているスコット・スペンドリーニ氏は、「OracleはApexに全力を傾注している」と指摘している。

 同氏によると、Web DBではたくさんのコードを書いて作成したコンポーネントを結び付ける必要があったが、Apexは単なるコンポーネントではなく、より安全性の高いアプリケーションを構築できるのが大きな違いになっているという。

 新版では、Apexアプリケーションを稼働させるのに必要なテーブル、ステートメント、スタイル・シート、アートワークなどを単一のファイルにパッケージ化する新機能が追加された。これにより、Apexアプリケーションをソフトウェア・ウィザードで容易にインストールすることができるという。

 Oracleは現在、2007年夏に投入予定の次期Apex 3.0を視野に入れつつ、Microsoftのデータベース「Access」をベースとするアプリケーションからの移行を促す自動化ツールを開発している。なお、Apex 3.0ではツール全体でAjaxへのサポートが強化されることになっている。

 ヒクワ氏は、「卵が先か、鶏が先かという状況になっている。Ajaxの最新機能に深入りしすぎると、(開発したソフトウェアを)サポートできるブラウザの数が限られてしまう」と語り、Ajaxに対するサポートの強化とApexがサポートできるブラウザの種類という相反する条件の間でバランスを取ろうとしているOracleの姿勢を説明した。

 Apex 2.2は、同社の「Oracle Technology Network(OTN)」サイトからダウンロードすることができる。

(チャイナ・マーテンス/IDG News Service ボストン支局)

提供:Computerworld.jp