米アルゴンヌ国立研究所、グリッド研究を支援するオープンソースのツールキットを公開

 米国エネルギー省(DOE)傘下のアルゴンヌ国立研究所は8月22日、グリッド・コンピューティングによる共同研究を支援するオープンソースのソフトウェア・ツールキット「Access Grid Toolkit」の新版を発表した。

 同ツールキットは、遠隔地にいる人々が画像や音声、テキストといったデータをリアルタイムに共有できるようサポートするもの。この技術を活用することで、例えば、医者が数千マイル離れた患者を診察したり、共同プロジェクトに参加する学生が遠隔地にいる教師や研究者たちにアドバイスを受けたりすることのできるアプリケーションを開発できるという。

 第3版となる新版では、ウォールサイズ・ディスプレイ技術のサポート、詳細なビジュアル化が可能なシミュレーション機能、簡素化されたユーザー・インタフェースの搭載など、さまざまな改良が施された。また、SSL、FTP、Jabber、XMLなどの主要なインターネット・プロトコルも新たにサポートした。同ツールキットは、第1版の提供以来、世界56カ国で2万回以上ダウンロードされている。

 アルゴンヌ国立研究所でAccess Grid活動の技術主任を務めるトマス・ウラム氏は、「Access Grid Toolkitの新版はPythonプログラミング言語ベースで開発された。強力なミドルウェアを搭載し、Access Grid上で動作するアプリケーションを従来版よりも容易に開発できるようになっている」と説明した。

 Access Grid Toolkitをベースとした商用アプリケーションを提供している米国インソーズの教育研究部門社長、ジム・ミラー氏は、今回のアップグレードについて、「システムの安定性と使い勝手が向上したことで、より多くの人々を引き込み、より多くのアプリケーションを共有できるようになっている」と評価している。

 なお、ミラー氏によると、インソーズが開発したアプリケーションの1つが、国立衛生研究所のアレルギーと伝染病に関する研究プログラムにおいて利用されており、同研究プログラムの参加者らは全国10カ所の地域研究センターおよび全国8〜10校の大学からリアルタイムに共同研究に参加できるようになっているという。

(ロバート・マクミラン/IDG News Service サンフランシスコ支局)

アルゴンヌ国立研究所
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米国エネルギー省(DOE)
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米国インソーズ
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提供:Computerworld.jp