JBoss、SOA対応のワークフロー・エンジン「jBPM」の新版を公開へ
jBPMは、ワークフロー、ビジネス・プロセス管理(BPM)、プロセス編成のためのプラットフォーム・ソフトウェア。JBossの製品マネジメント担当ディレクター、ピエール・フリッケ氏によると、jBPMのダウンロード数は2005年に前年の約3倍に増加し、現在も1カ月に2万件以上ダウンロードされているという。同氏は、jBPMが広く支持を得ているのは、Javaベースのプロセス中心型プログラミング言語であるjPDL(jBPM Process Definition Language)をサポートしているからだと説明する。
「SOA(サービス指向アーキテクチャ)とはすなわちビジネス・プロセスの統合とサービスの提供にほかならない。したがってSOAを実装するには、BPMを実現することがきわめて重要となる。従来、ワークフロー機能を実現したい、あるいはJavaプログラム内でBPMと同様の作業を行いたいと考える開発者は、jBPMが登場するまでは、非常に高価なパッケージ製品を購入しなければならなかった」(フリッケ氏)
BPEL 1.1のサポートは今年9月中に追加され、BPEL 2.0への対応はそのあとになる予定だ。なお、BPEL 2.0は、OASISにより標準仕様として認証される見込みである。JBossはOASISのBPEL開発に参加している。
フリッケ氏によると、JBossでは現在、jBPMの最終仕様の確定作業が進められているところで、プロセス構築機能の強化も図られることになるそうだ。
米カレント・アナリシスのアナリスト、ショーン・ウィレット氏は、jBPMのBPEL対応と、JBossが先ごろ発表した次期「JBoss ESB(Enterprise Service Bus)」のベータ版リリースは、JBossにとって重要なステップだったはずと分析している。
同氏は、SOA実現をサポートするベンダーとして顧客から信頼を得るためには、「単にアプリケーション・サーバを提供しているだけでは不十分」とし、(今回のJBossのように)今後は標準化に向けた取り組みが必須になると指摘している。
次期JBoss ESBの最終版は、今年後半に発表される予定となっている。企業がSOAを実装する際にコンポーネントの「接着剤」として働くESBは、サービスおよびプロセスの連携・統合をサポートする。JBoss ESBのベータ版は、http://labs.jboss.com/portal/jbossesb/downloadsからダウンロードできる。
一方、JBossの親会社である米Red Hatは、数週間以内に「Red Hat Enterprise Linux 5」のベータ版を公開する意向を明らかにしている。同社のエンジニアリング担当バイスプレジデント兼CTO(最高技術責任者)、ブライアン・スティーブンス氏によると、同OSでは仮想化機能の搭載により、1基のハードウェア上で複数のOSインスタンスを実行できるという。
InfoWorld米国版は8月16日に、サンフランシスコで開催された「LinuxWorld Conference & Expo San Francisco 2006」の会場近くのホテルで、Red HatおよびJBossの関係者にインタビューを行った。両社のビジネスは同コンファレンスの開催趣旨と根本的に合致しているように思えるが、実のところどちらも出展していなかった。
JBossは同コンファレンスに参加したことはなく、今後も出展の予定はないと同社の関係者は述べた。一方のRed Hatは、オープンソース開発コミュニティとはもっと直接的な方法で関係を深めていきたいとする声明を出している。
Red Hatは声明で、「われわれは、オープンソース開発コミュニティとの長期的かつ双方向的な協力関係を築くことに重きを置いている。『Red Hat Summit』をはじめとする各種セミナーや、その他の専門的なイベントも例外ではないが、LinuxWorldに出展するよりも、一企業として直接的なコミュニケーションや提携を図ったほうが、当社の顧客およびLinux開発コミュニティとの関係維持・強化に役立つと考えている」と説明している。
(ポール・クリル/InfoWorld オンライン米国版)
米JBoss
http://www.jboss.com/
米RedHat
http://www.redhat.com/
提供:Computerworld.jp