IBM、メインフレーム用Tivoli製品群を発表──SOA実装をサポート

 米IBMは8月15日、メリーランド州ボルチモアで開催中のユーザー向けコンファレンス「SHARE User Events」(2006年8月13日〜18日)で、同社のメインフレーム・サーバ「System z」用の新しいTivoli管理ソフトウェア製品群を発表した。

 同社は今年第4四半期にSystem z上でSOA(サービス指向アーキテクチャ)実装を支援する次の4つの製品を投入する計画だ。

Tivoli Federated Identity Manager for z/OS Version 6.1

 同製品はメインフレーム環境にフェデレーテッド・アイデンティティ管理機能を追加するもの。複数の企業や取引パートナーにまたがるIDとリソースを管理し、企業間で安全な取り引きが行えるよう支援する。また、ネットワーク・トラフィックを複数のファイアウォールにまたがって保護する機能などを装備する予定となっている。

Tivoli Composite Application Manager Version 6.1

 複数の管理ツールの切り替えなしにシステム上の問題の診断を行い、複合アプリケーション内の問題検出をサポートするソフトウェアの新版。アプリケーションの追跡機能などが強化さられているという。

Tivoli Workload Scheduler Version 8.3

 バッチ・ワークロード処理をSOA対応のメインフレーム環境、分散環境、グリッド・コンピューティング環境にまたがって行うためのスケジューラ製品。新版では手動によるバッチ・ワークロード業務を省く自動処理機能が強化されている。

Tivoli Omegamon XE Version 4.1

 IBMが2004年に買収した米国キャンドルの技術をベースに開発されたITインフラ管理ソフトウェア。SOA未対応のアプリケーション、ミドルウェア、システムを包括的に診断・管理できるほか、異なるOS、データベース、ストレージ、ネットワーク、インフラ・ソフトウェアなどを詳細に分析する機能を備える。また、「CICSトランザクション・ゲートウェイ」や「Dynamic Workspace Linking」など、Omegamon製品同士の接続をサポートする製品も同梱される。

 IBMのTivoliマーケティング戦略担当マネジャー、ピーター・マーシャル氏によると、ここにきてメインフレームの用途が変わりつつあるという。これまでは中核のビジネス・アプリケーションを提供するために使用されていたが、最近は、注文処理やカスタム・サービスといったインターネット・ベースのサービスの“ハブ”として利用されるケースが増えているという。

 また、米国クラビー・アナリティックスの社長兼アナリスト、ジョー・クラビー氏も、近年のメインフレームの用途は大規模なトランザクション・エンジンからSOAをサポートするものへと変わってきていると指摘している。同氏は、メインフレームを使用した仮想化インフラ上でJava仮想マシンを複数実行できる環境を構築し、ITの運用管理コストを削減するのに、IBMの新製品が役立つと述べている。

 なお、今回発表されたTivoliソフトウェアは、いずれも仮想化データベース「IBM Tivoli CCMDB(Change and Configuration Management Database)」との統合をサポートし、ITIL(Information Technology Infrastructure Library)にも準拠しているという。

(ポール・クリル/InfoWorld オンライン米国版)

提供:Computerworld.jp