MicrosoftにあってLinuxにないもの
Red Hatは2002年にバスツアーを実施したがバスは1台きり(かつ1度だけのツアー)で、スケジュールは主としてLUG(Linux Users Group)、大学、K-12学校(幼稚園からの一貫教育校)からの招きによって決定されていた。これに対し、Microsoftの7台のトラックは一年じゅう巡業に出ており、滞在の日程は地方のテクノロジグループまたはビジネスグループ・ミーティングに合わせて決められているようだ。私がMicrosoftトラックを目撃したのは地元(私の場合はフロリダ州ブラデントン)のテクノロジ・ビジネス・グループ、82 Degrees Techが開いた会議でのことで、TechHouseというの地元のMicrosoftパートナーがスポンサーに付いていた。
私が編集したMicrosoftトラックのビデオは2分に満たない内容になっている。全体のプレゼンテーションは20分以上あったのだが、20分もかけて見るほどの有益な情報とは思えなかったので、Microsoftがどのように同社の製品を巧妙に売り込んでいるかを「感じ取れる」代表的なシーンを2つ選び出した。
宣伝内容がすばらしいわけではなく、私が見たプレゼンテーションには実際のソフトウェアやハードウェアのデモは1つも入っていなかったことに注意してほしい。あれはただのおしゃべりに過ぎなかった。ビデオをご覧になれば、プレゼンターの背後に巨大なプラズマスクリーンが立っているのがわかる。また、トラックにはルータやノートPC、ラック設置式のコンピュータ ― すべて「インテル搭載」ハードウェア ― がたくさん積み込まれ、多数のLEDが点滅していた。
「Microsoftのすばらしさ(Wonders of Microsoft)」というプレゼンテーションでは、きっと好奇心をそそるコンピュータの技がいくつか披露され、最低でも巨大スクリーン上で何点かのグラフィックが切り替えられて表示されるはず、と皆さんは思われるだろう。少なくとも私はそうだった。しかし、違ったのだ。私が目にしたのは、ポロシャツを着たプレゼンターがルータやノートPC、そして一画に置かれたXボックスを指差しながら、家庭や職場においてそれらをどのようにネットワーク化できるかをただ説明する姿だった。
ちょっと想像力を働かせれば、コンピュータとプラズマスクリーンを1台ずつ使うだけでMicrosoftトラックのものよりもずっと華やかなLinuxのプレゼンテーションを実施できるはずだ。また、トラックを使わないLinuxのプレゼンテーションでは、Microsoftトラックのときのようにエアコンによる凝縮作用で生じた水滴が落ちてきて出入りのたびに濡れずに済むのはもちろん、耳障りなエアコンの騒音に悩まされることもないだろう。
全体として、私が見たMicrosoft全米横断トラックはたいしたものではなかった。しかし、現実には、Microsoftにはこうしたトラックが7台もあるというのに、これらに匹敵するGNU/Linuxの展示ショーが近い将来に私の(または皆さんの)街にやって来る予定はないのだ。そして、そうしたGNU/Linuxの展示が行われるようになるまでは、MicrosoftがLinuxよりも ― 少なくとも技術的な優劣よりも市場での存在感に影響されてしまう人々の間では ― 普及しているという事実を受け入れざるを得ない。
NewsForge.com 原文