トヨタの米国ディーラー、COBOLプログラマーの減少を見据えメインフレームを刷新

 自動車販売会社のJMファミリー・エンタープライズ(本社:フロリダ州ディアフィールド)の子会社で、フランチャイズ方式の自動車ディーラー網を運営しているサウスイースト・トヨタ・ディストリビューターズ(SET)が取り組むメインフレーム刷新プロジェクトでは、COBOLユーザーにとって頭痛の種となりうる“フィールド拡張”が実施されている。

 SETでは現在、IBMのプレリレーショナル・データベースの「VSAM」から、リレーショナル・データベースの「DB2」へ移行する作業や、COBOLアプリケーションのデータ・フィールドのサイズ拡張などが行われている。同社はこの一連の作業をソフトウェア・サービス会社のブルーフェニックス・ソリューションズ(本社:イスラエル、ヘルズリヤ)に委託し、2007年に完了させる見通しとしている。

 SETのメインフレーム・アプリケーションは1980年代に社内開発されたものだが、長年にわたって機能を追加してきた結果、「気がついたら、いわゆるスパゲッティ・コードになっていた」と、SETのITプロジェクト管理室担当バイスプレジデント、ジェフ・ホール氏は語る。

 リレーショナル・データベースを採用することで、Javaや.NETベースのアプリケーション、ビジネス分析などの新機能を追加することが可能になる。ホール氏は、システムを一から作り直したり、パッケージ・アプリケーションを導入したりすることも検討したが、拡張機能の構築やソフトウェアのカスタマイズに費用がかかりすぎると判断したため、最終的にDB2への移行を決定したとしている。

 米国タクティカル・ストラテジー・グループのコンサルタント、ウィリアム・ウルリッチ氏は、「データ・フィールドは、多数のアプリケーションやファイルがかかわっているため、その拡張は面倒でコストがかかる可能性が高い。しかし、データ・フィールドが短すぎたり、長すぎたり、適切に定義されていなかったりすることが、しばしば大規模プロジェクトの失敗や予算超過を引き起こす原因になっている」と指摘する。

 ホール氏は、SETの現在のプロジェクトが、アプリケーションを増分アップグレードするという中期戦略の土台になると考えている。同氏によると、その戦略の動機の1つは、COBOLプログラマー層の縮小にあるという。ホール氏のスタッフは今のところ、メインフレーム・アプリケーションの開発を担当するのに十分なCOBOLのスキルを備えている。しかし、ホール氏は、「大学ではもうCOBOLを学ぶことはできない。あと10年もすれば、COBOLのスキルを持つ人が急激に減るため、従来のシステムのままでは苦境に陥る可能性が高くなる」と述べている。

(パトリシア・ティボドー/Computerworld 米国)

サウスイースト・トヨタ・ディストリビューターズ(SET)
http://www.jmfamily.com/SET/default.htm

提供:Computerworld.jp