Citrix、WAN最適化ベンダーを5,000万ドルで買収へ
Orbital Dataの買収によってCitrixは、WAN接続経由のデータ送信方法を改善し、より高速なデータ転送を実現できるようになる見通しだ。この技術は、シン・クライアント環境におけるサーバおよびクライアントの接続のために、あるいは、Orbital DataのWAN最適化ソフトウェア・クライアントが動作する個々のPCを接続するために利用される予定となっている。
また、Citrixは、買収が年内に完了すれば、Orbital Dataの製品を「Citrix WANScaler」という新ブランドで販売開始するという計画を明らかにしている。
Orbital Dataの買収は、ファイアウォール・ベンダーのテロス、SSL VPNメーカーのネットシックス、アプリケーション加速化製品ベンダーのネットスケーラーの買収に次いで、この1年間でCitrixが行った4番目の大型買収となる。これらの買収に共通しているのは、すべての関係企業がアプリケーションへのリモート・アクセスを高速化、あるいは保護する製品を保有していることだ。これはCitrixの軽量クライアント・リモートサーバ技術「MetaFrame」の特徴の1つでもある。
Citrixは、この種の技術に興味を持ち、WAN最適化ベンダーであるエクスパンドと提携していたが、エクスパンドの最適化デバイス「Compass WAN」が自社製品の「NetScaler」シリーズとあまりにも緊密に競合するとして、自社主催のコンファレンスへエクスパンドが入場するのを拒否した先月、この提携を解消している。Citrixは現在、パケッティアと提携関係にある。
Citrixは、Orbital Dataの製品が広域接続経由で自社アプリケーションのベスト・パフォーマンスを持続させると説明している。なお、WAN最適化ベンダー各社は、圧縮、TCPマルチプレクシング、キャッシングなど、さまざまな手法を組み合わせて使用しているが、接続経由で送信されるトラフィックの種類によって、一部の組み合わせが他の組み合わせよりも効果を発揮する場合がある。このため、例えば、他社がトランザクション・パフォーマンスを35%しか改良できないのに、あるベンダーの製品は50%高速化できるケースがあるという。
なお、Orbital Dataは、アプリケーション要求を予期し、WANを通過するトラフィック量を低減することで、特定の種類のデータの転送を最適化するソフトウェアも有する。MicrosoftのCIFS(Common Internet File System)トラフィックのWAN遅延を低減するソフトウェアはその一例だ。ほかにも、支社用の機器や、データセンター用よりも大型の機器などを製造している。
同様の蓄積された技術を集めているのは、Citrixだけではない。昨年、米ジュニパーネットワークスは、WAN加速化企業のベリビットとデータセンター加速化ベンダーの米レッドラインを買収している。また、米Cisco Systemsも似たような一連の技術を買収する動きを見せている。
(ティム・グリーン/Network World オンライン米国版)
米Citrix Systems
http://www.citrix.com/
提供:Computerworld.jp