SGIなどのサーバ・ベンダー、Itanium 2搭載システムの今後の売れ行きに楽観

 米SGIやオランダの富士通・シーメンス・コンピューターズ(FSC)などのサーバ・ベンダーは、7月18日に正式に発表される予定のIntelのデュアルコア版Itanium 2プロセッサ「Montecito(開発コード名)」を搭載したマシンを販売する計画を明らかにしている。

 FSCは今四半期末までに、同社の8、16、32ソケットの「PRIMEQUEST」サーバの搭載プロセッサを、シングルコア版Itanuim 2チップからデュアルコア版Itanuim 2にアップグレードする。

 同社のエンタープライズ・サーバ事業部門の製品マーケティング担当ディレクター、フランク・ライチャート氏は、「当社では、社内に分散したデータベース群を1つの集中管理型システムに統合しようと検討している顧客を販売ターゲットとしている」と語る。

 同様にSGIも、ハイエンドの「Altix 4700」サーバとミッドレンジの「Altix 450」サーバを8月末までに出荷する計画だ。両製品とも、創薬、気象予報、自動車の騒音や振動のシミュレーションなど、大量のデータ処理と分析を必要とするHPC(High Performance Computing)分野での利用を想定しているという。

 シングルコア版のItanium 2(Madison:開発コード名)から新しいデュアルコア版にアップグレードすることで、コンピューティング密度や電力効率が向上することから、SGIでは、すでに分析アプリケーションを導入している企業にもAltix 4700/450を売り込んでいきたい考えだ。

 SGIのHPCサーバ・システム担当マーケティング製品マネジャー、ジル・マッケ氏は、「プロセッサをMontecitoにアップグレードすることで、われわれはデータ・マイニング分野における新たな領域に踏み出すことになるだろう。企業が抱えるデータ量は急激に増加しており、ユーザーはそれらを分析するための新しい手法を求めている」と述べている。

 もっとも、業界のアナリストらは、Montecitoの将来性について厳しい見通しを示しており、新型チップの採用だけで縮小しつつあるサーバ市場シェアを奪回するのは難しいと見ている。

 調査会社の米クラビー・アナリティックスは、今年6月に発表したリサーチ短信で、ItaniumはAMDのOpteronやインテル自身のXeonによって、収益性の高いローエンド・サーバ市場から追い出されたと指摘している。クラビー・アナリティックスでは、OpteronやXeonは、32ビット・コンピューティングから64ビット・コンピューティングへのスムーズな移行をサポートするハイブリッド設計を採用しているのに対し、まったく新しい64ビット・コンピューティング・アーキテクチャ「EPIC」を採用するItaniumは、32ビット・プラットフォームからの移行が困難という理由から評判が良くないとしている。

 ミッドレンジとハイエンドのサーバ市場では、IBMのPOWER、Sun MicrosystemsのSPARC、ヒューレット・パッカード(HP)のPA-RISCなどのRISCベース・プロセッサが大きなシェアを占めているのに対し、IntelのItaniumのシェアはごくわずかで、しかもその市場は縮小し続けている。例えば、DellとIBMは、2004年にItaniumベースのシステム構築のサポートを中止している。

 それでも、SGIは、Itaniumが顧客獲得に役立つと楽観している。同社によると、新しいAltixサーバは、Montecitoの後の次期Itanium「Montvale(開発コード名)」との互換性も保たれているという。

 SGIのグローバル・テクノロジー・パートナーシップ担当シニア・マネジャー、トニー・デバルコ氏は、「IBMのマシンを購入すると、サービスもソフトウェアも同社に頼らざるをえなくなる。しかし、Itanium搭載システムは大手OEM8社から提供されているため、ユーザーは自社に見合った製品を選択することができる」と強調する。

 デバルコ氏によると、SGI、FSCのほかに、富士通コンピュータ・システムズ、ヒューレット・パッカード(HP)、日立製作所、NEC、ユニシスなどが、Itaniumチップ搭載システムの販売を予定しているという。

(ベン・エームズ/IDG News Service ボストン支局)

米SGI
http://www.sgi.com/

富士通・シーメンス・コンピューターズ(オランダ)
http://www.fujitsu-siemens.com/

米Intel
http://www.intel.com/