IBM、次期企業向けIMソフトの詳細を明らかに──Microsoftからのユーザー奪取を目指す

 米IBMは、同社の企業向けインスタント・メッセージング(IM)ソフトウェア「Lotus Sametime」に、MicrosoftのOutlook、Office、SharePointアプリケーションとの連携機能を追加し、これらのMicrosoft製品からSametimeの機能にアクセスできるようにする計画を6月26日に発表する予定だ。IBM幹部が6月23日に明らかにしたもの。

 IBMのワークプレース、ポータル、コラボレーション製品担当バイスプレジデント、ケン・ビスコンティ氏によると、Microsoft製品との連携機能は来年初めにSametimeのバージョン7.5に搭載されるという。Sametime 7.5は現在ベータ・テスト中で、今年第3四半期に出荷される予定だ。

 同氏によると、IBMは、現在導入されているSametimeの約75%が同社のメッセージング/コラボレーション・プラットフォーム「Notes/Domino」とともに使用されており、残りの25%はMicrosoftのOutlookやExchangeなどと組み合わせて使われていると推計している。IBMでは、OutlookやSharePoint、Officeとの連携機能を提供することで、Microsoft製品ユーザーの間でSametimeの利用が拡大すると期待している。

 IMが企業における主要なコミュニケーション・ツールとして多くの企業の間で定着しつつある背景には、IMサービスおよびソフトウェアが単なるテキスト・メッセージングを超えた機能をサポートするようになってきたことなどが挙げられる。事実、企業向けIMシステムは、電話や電子メール、業務アプリケーション、Web会議システムと統合された“コミュニケーション・ハブ”の役割を果たしつつある。IBMのSametimeとその最大のライバルであるMicrosoftの「Live Communications Server(LCS)」は現在、企業ユーザーの激しい獲得競争を繰り広げている。Microsoftも以前から、IBMユーザーをLCSに引きつけるためのプログラムを実施している。

 Microsoft製品との新しい連携機能により、ユーザーはOffice XP以降のバージョンからSametimeを操作し、例えばインスタント・メッセージの送信、電話の発信、アプリケーション共有、Web会議などを行えるようになる、とビスコンティ氏は語っている。また、Sametime 7.5のプレゼンス(在籍)情報表示などの機能によって、Outlook 2000以降のバージョンのメール・ボックスからアクセスできるようにもなるという。

 Sametime 7.5には、Microsoft製品との連携機能だけでなく、リサーチ・イン・モーション(RIM)やノキアの携帯デバイス、Windows Mobileベースのデバイスなどと直接リンクする機能も追加される。このモバイル・サポートは今年第4四半期に実現される見込みだ。

 また、Sametime 7.5は、オープンソースのEclipse開発フレームワークをベースに構築されており、オープンAPIを使った拡張にも対応する設計となっている。ビスコンティ氏によると、これによってサードパーティ開発者はSametime 7.5に対応したプラグインやアプリケーションを作成できるようになるとしている。ほかにも、新バージョンではWeb会議用のアプリケーション共有機能なども強化されているという。

 なお、IBMが今年発表したとおり、Sametime 7.5はAOL、Yahoo!、GoogleのパブリックIMネットワークとの接続をサポートしている。

 米フォレスター・リサーチのアナリスト、マット・ブラウン氏は、「今回のSametimeに関する発表で最も興味深いのは、IBMがMicrosoftと正面対決していることと、オープン性や相互運用性が重視されていることだ」と語る。

 Office、SharePoint、Outlookとの連携機能の提供は、“Microsoft技術で統一したプラットフォームでLCSを使うほうが、ITマネジャーにとって利益が大きい”とするMicrosoftのメッセージに正面から対抗しようとするものだとブラウン氏は指摘する。IBMは、よりオープンなプラットフォームとしてSametimeの普及を促進するというMicrosoftとは異なるアプローチを取っており、「そこに両社の違いが鮮明に表れている」と同氏は分析している。

(ホアン・カルロス・ペレス/IDG News Service マイアミ支局)

米IBM
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