AMD、インテルに対抗する新たな製品ロードマップを明らかに
AMDは上記とほぼ同じ時期に、主力のデスクトップPC向けデュアルコア・プロセッサの新製品も投入する予定だ。「これら4種類の新プロセッサでは、AMDの回路線幅65nmの新チップ・アーキテクチャが採用される」とヘスター氏は、同説明会に参加したアナリストに向かって説明した。
AMDはデュアルコア・プロセッサへの移行で米国インテルに先行したが、インテルは2007年半ばに4コア・チップを出荷してコア数による競争をAMDに仕掛けようとしている。こうしたライバルの動きに対して、AMDは今回発表した計画によって対抗していく考えだ。
AMDはプロセッサ・コア数の拡大とコンポーネントの微細化を進めるだけでなく、製品の電力効率の向上にも取り組む。AMDは同日、電力効率の高いノートPC向けデュアルコア・プロセッサを2007年後半に投入することも明らかにした。
電力効率は、AMDのインテルとの戦いにおける大きなテーマとなっている。AMDはワット当たり性能で表される電力効率での優位性をしばしば主張してきた。「新しいチップ・ファミリでは、各コアの動作周波数を作業負荷に合わせて変更する新たな仕組みを導入することで、このテーマを引き続き追求する」とヘスター氏は強調した。
同氏によると、この仕組みを導入することによって、現在のOpteronプロセッサ搭載サーバと比較して、2007年には60%、2008年には150%の電力効率向上が実現するという。
AMD は次期モバイル・プロセッサでも、上記と似たアプローチによって消費電力の抑制を図る。来年後半にリリースを予定しているデュアルコア・モバイル・プロセッサでは、コアのオンとオフの切り替えにより、作業負荷に応じた必要最低限の電力だけを使用するようになるという。
一方、AMDはTechnology Analyst Dayで、チップ設計を第三者の開発者に公開する「Torrenza(コード名)」という新たな計画も発表した。同計画の下、AMDはマルチソケット・システムでAMDチップとともに動作する特定用途向けコプロセッサの開発を推進していく方針だ。AMDでは、この取り組みが市場シェアの切り崩しに向けた PCベンダーのパートナー拡大に役立つと期待している。
AMDはほかにも、企業のITコスト削減に向けた新しい市場戦略も打ち出し、セキュリティ関連のソフトウェア・ツール・セットをOEMパートナーに提供する計画と、シン・クライアント・コンピューティングを推進していく計画を明らかにした。
この新しいツール・セットは、OEMパートナーがセキュリティ、仮想化、管理という3つの機能をリンクすることで、顧客企業のクライアント/サーバ・プラットフォームのITコスト削減を支援するものだ。
こうしたオープンな事業モデルは、AMDが取り組んでいるパートナー拡大に貢献する可能性があるとアナリストは見ている。
米国IDCのアナリスト、ケリー・クイン氏は、「Torrenza計画がAMDのDirect Connectアーキテクチャの構想と連動して機能するかたちになれば、AMDはこのアーキテクチャを広く推進することができるだろう。オープン性を生かして全体的なエコシステムを育成する絶好の機会になる」
このほかAMDは、マイクロプロセッサの配線とゲートの微細化に関するロードマップの概要も説明した。AMDはすでに回路線幅90nmの微細加工技術でチップを製造しているが、年末までに65nm技術によるチップ製造を開始する予定だ。同社は、2008年までに45nm技術、2010年までに32nm技術に移行する見通しとしている。なお、AMDは現在、 IBMと共同で22nm技術の研究も行っている。
(ベン・エームズ/IDG News Service ボストン支局)
米国AMD:http://www.amd.com/
提供:Computerworld.jp