Linux Kernel Developers Summit 2005報告(2日目)
カーネルサミット2日目
Device Driver Panel初日のCPU Panelと同じような形で、今度はハードウェア(特にSCSI)の ベンダ(Emulex, QLogic, Intel)とCE Linux Forumから簡単なプレゼンテーションが行われた。
どのハードウェアベンダも、Linuxのドライバを作るにあたってはドライバのメンテナンスに苦労しているという話が中心だった。各ディストリビューションのリリースごとにメンテナンスするのか、あるいはmainlineへ統合し、mainlineベースでメンテナンスしていくのかといった選択で困るらしい。
Networking Summit Summary
別途開催されたNetworking Summitの報告。16人参加したとのこと。Networking Summitでは、XFRMやTCP segmentation offloadなどの議題について議論したとのことだった。
Convergence of network and storage paths
cluster filesystemやNAS、iSCSIなどにおいて、ネットワーク上にstorageを置いた場合に起こる問題についてのセッションが開かれた。主にメモリが逼迫した状況でもネットワークスタックは動作できなくてはならない(メモリ回収でdirtyなページを書き出す必要があるため)という要件に ついて活発に議論が行われた。Linusから、「ディスクレスのシステムは昔からあるがうまくいった試しがないので、完全にディスクレスのシステムなんて考えない方がいいのでは?」というツッコミが入っていた。
Clustering
Cluster Summitのまとめ。cluster filesystemやクラスタにまたがるプロセス管理の話について主に説明。SSI (Single System Image)の実現について議論が中心だった。
RAS tools discussion
kdumpなどのRAS系ツールについて議論。ダンプを取る前にはDMAをきちんと止めないといけないが、大丈夫なのかというあたりで議論になっていた。
グラフィックス関係
もともとGFXのセッションとDesktop Summit Summaryのセッションに分かれていたが、グラフィックス関係ということで一続きのセッションとなった。内容はDesktop Summitのまとめが中心だった。特に、VT(仮想ターミナル機能)の実現について、最近のグラフィックカードはレジスタなどが多く、VT間の切り換えの際に保存すべき情報が非常に多くなっていることが問題という話があった。
Power Management Summit Summary
Power Management Summitについてのまとめが発表された。suspend/resumeまわりの問題についての議論が行われたとのことだった。他には組み込み向けのpower managementについての話があった。
Development Process / Quality Control
今回のLinux Kernel Summitの最後に、Linuxカーネルの開発体制についてのセッションが開かれた。カーネルの品質を落とすことなく、どうやって開発を進めていくかという話が中心となった。
現状では、バグ報告をうまく取り上げることができていないケースが あるので,改善の余地があるはずだという話が挙がった。バグの管理の やりかたにしても,現状ではbugzillaをうまく使えていないという話が出た。聞き落としたかもしれないが、少なくともこの場では今後2.7や2.8をいつ出すかといった話はなかったように思う。
以上、今年のLinux Kernel Summitの簡単な報告であるが、LWN.netには
詳細なレポートがある。ちなみに毎年恒例の
Summit参加者による集合写真もLWN.netにあるが、筆者は写真左側で
ちょうどLinusの真後ろに写っている。
黒澤 崇宏
VA Linux Systems Japan株式会社 技術部所属。