LinuxFund、新しいディレクターを迎え、資金提供を再開へ

再開を模索していたクレジットカード・プログラムLinuxFund――Linuxなどのオープンソース・コミュニティに資金を提供することを目的に設立――は新しいエグゼクティブ・ディレクターを迎え、オープンソース・プロジェクトへの資金提供を再開すると発表した。

LinuxFundの新しいエグゼクティブ・ディレクターDavid Mandelは、NewsForgeのインタビューの中で、LinuxFundの運営正常化に向けて、まず3つのプロジェクトに四半期ごとに資金――DebianFreenodeWikipediaに1年間にわたり月額500ドル――を提供することを明らかにした。Mandelは、同基金の創設者Benjamin Coxの支援を得て同プロジェクトの再生と、肝心なFOSS開発者への資金提供の再開に自信を示し、成長の可能性にさえ言及した。

LinuxFund――LinuxFundカードの所有者がVisaまたはMasterCardで購買するとその代金の一定割合が基金に組み入れられる――に、支援金は集まっていた。しかし、昨年、プロジェクトの管理者が運営に失敗したため同基金は立ち往生し、以来、再開を模索していた。

LinuxFundによれば、同基金は5,000〜10,000人と推定されるカード所有者から年間約100,000ドルを受け取っているという。少なくとも、当時のディレクターがプロジェクトのサイトを閉鎖し休止させた時点ではそうである。そのとき、同基金の銀行口座には合わせて126,000ドルほどの残高があった。その資金について、Mandelは今はプロジェクトを動かさないと述べている。「どんな出費があるのかわかりませんから」

しかし、LinuxFundの資金は近いうちに配布されるだろうとMandelは強調した。まず、Debian、Freenode、Wikipediaの各プロジェクトに対して今月中に6,000ドルを提供し、さらに8〜10のオープンソース・プロジェクトに四半期ごとに資金を提供、提供先は毎年見直すと、Mandelは述べた。こうした点については同基金の新サイトでも確認できる。

「LinuxFundはオープンソース・コミュニティに役立つプロジェクトに資金を提供します。ソフトウェア開発やLinuxだけに限りません。オープンソース・コミュニティにとって、新しいプログラムの開発も重要ですが、サポートや研修なども同じように重要です。LinuxFundはそうした領域のプロジェクトにも喜んで資金を提供します」

これまでLinuxFundは、オレゴン州ポートランドをベースとするローカルなオープンソース・コミュニティのメンバーの中で参加可能な人――開発者もそれ以外も――に頼って運営されていたが、他の人にも参加の道を開くべきだとMandelは述べ、OSDLのChris WrightやPatrick Mochelらが参加する開発グループを再編成し、資金の提供先を拡大したいと言う。

Mandelは、DebianとWikipediaをオープン性に貢献する重要なプロジェクトとして讃えた。この発言に対してDebianのコメントは得られなかったが、Wikipediaの広報担当者Elisabeth Bauerは、Wikipediaなどのプロジェクトは一般からの寄付によって運営されており、Wikimedia Foundationは計画を立てやすい定期的な資金の提供を歓迎すると述べた。そして、「当財団の目的に沿った」プロジェクトから提供された資金であるともコメントした。

「Wikipediaはインターネットで上位40に入るサイトで、通信量も訪問者も莫大です。そのためハードウェアはいつも不足気味です。ですから、今回提供された資金も、ほとんどの寄付金と同じようにハードウェアと通信の経費に使われます。そして、Wikipediaの無償サービスを一般の人々に提供するために必要となるソフトウェアの開発にも使われるでしょう」

3つめの資金提供先Freenodeについて、一部のFOSS支持者は、プロジェクトへの支援の多くが実際にはプロジェクトの陰にいる個人――エグゼクティブ・ディレクターのRobert Levin――に回っていると非難している。しかし、当のLevinはLinuxFundによる支援を歓迎すると述べた。「真っ先に思ったのは『やった!』でした。とても喜んでいます。私たちのやってることに誰かが目を向けてくれるのは、とても嬉しいことです」。そして、FreenodeはLinuxFundからの資金を受け入れるだろうと述べた。

LevinとFreenodeを快く思わない人たちについて、Levinは、501(c)3による非営利団体であるFreenodeを擁護し、指摘されている悪感情はインターネット・リレー・チャットの個人的な問題によるものだとした。LevinはFreenodeから年に16,000ドルを受け取っていると言うが、これは同団体の予算の約半分に相当する額である。

LinuxFundのMandelもFreenodeを擁護した。「Freenodeは大きなネットワークで、運営には沢山のボランティアや寄付が必要です。ソフトウェアを書いているわけでもないし、コンテンツを作っているわけでもありませんが、何千人というオープンソース・ユーザーや開発者がFreenodeの仕組みを利用してコミュニケーションを行っています。それを年間たった16,000ドルで一人で引き受けているのです。それが、資金を提供する価値があると考える理由です」

ところで、Mandel自身の給与はと言えば、LinuxFundのエグゼクティブ・ディレクターとして月額1,000ドルが支払われているとMandelは述べている。管理経費を抑えるために、前エグゼクティブ・ディレクターよりも低額だ。Mandelによれば、LinuxFundが生き延びられた理由の一つはこの経費圧縮だという。LinuxFundは501(c)3による非営利団体ではないが、ブログでLinuxFundを追っかけているIlan Rabinovitchによれば、オレゴン州務長官の公益非営利団体一覧に掲載されているいう。

「私には他の収入もあります――来年2月に(オレゴン州立大学を)退職しても」と、自身の引退後のことにも触れてMandelは述べた。「ですから、これだけで十分なのです。それに、LinuxFundの事務所を自宅に移すことにしています。そうすれば、事務所を借りる必要がなくなります。これで月に400〜500ドル節約できるでしょう」

時間はかかるかもしれないし障害が完全になくなったわけでもないが、LinuxFundは継続するし、1999年の創設以来プロジェクトの拡大を支えてきたトレードショーでの紹介によって、カード所有者が増えオープンソースに提供する資金も増えるだろう。Mandelは、そう繰り返した。

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