Greg Wallaceインタビュー:組み込みLinuxの未来

米Emu Softwareの共同創立者で現在はマーケティング部門の責任者であるGreg Wallaceは、ニューヨークで先月開かれたC3 Expoで組み込みLinuxをテーマとするパネルに参加した。その席で彼は、Linuxは組み込みソフトウェア開発者が最も好む選択肢であり、ウィンテルが支配するPC市場とは対照的に、この分野には組み込みシステム向けチップのベンダが多数存在し、盛んな競争と革新が見られると発言した。この日のパネルで交わされた議論について、Wallaceに聞いた。

NewsForge:パネリストの顔ぶれは?

Wallace:このセッション ─ 正式名称は”The Future of Embedded Linux(組み込みLinuxの未来)”ですが ─ のパネリストは豪華絢爛でしたよ。米NPD Techworldの民生エレクトロニクス業界分析責任者Ross Rubin、Columbia大学コンピュータ・サイエンス学部のDr. Stephen Edwards、米MontaVistaのマーケティング責任者Oren Teichがいました。それぞれのパネリストの持ち時間は約15分で、その後で会場からの質問を受け付けました。

Dr. Edwardsは、組み込みシステムの設計と構築の難しさを聴衆に説きました。組み込みシステムの複雑さは1年ごとに40%以上増加する、というのが、組み込みシステムの平均コード行数を測定することで彼が得た観察です。

Rubinは、販売曲線が横ばいまたは下降している家電製品により多くの知能を組み入れることが、多くのメーカーにとって収益を再び上向かせる上で重要な戦略であると指摘しました。例として彼はデジタル・カメラを挙げ、赤目補正などの機能を提供するために組み込み知能が利用されていると述べました。

Teichは、組み込みLinuxを使うことで、開発管理と機能性に最良の妥協が得られると述べました。天秤の管理側において、Linuxはモジュール型の柔軟なプラットフォームや既製ハードウェア/ミドルウェアの巨大な生態系を提供します。そして、完全なカスタマイズが可能で ─ ベンダは独自のルック・アンド・フィールをアプリケーションに追加できます ─ プロプライエタリな束縛はありません。また、Linuxのよく知られた機能性は、そのプラットフォームの成熟度、スケーラビリティ、クロスプラットフォームの標準化によるものです。

NF:セキュリティの問題に触れたパネリストは?

Wallace:プレゼンテーションの中で触れたパネリストはいませんでしたが、Q&Aの時間に会場からその質問は出ました。セキュリティはすべてのコンピューティング・システムにおいて避けられない大きな課題だが、コードセットが大勢の手で扱われるオープンソース開発プロセスのおかげで、Linuxは、広く普及したクローズドソースのプラットフォームよりも高いセキュリティを最終的には達成するだろうと、Dr. Edwardsが答えました。

NF:大筋での結論は?

Wallace:私の見解では、この市場は複雑さ、規模、革新性の点で爆発的に広がっているところです。組み込みLinuxの知能は、ネットワーク機器からデジタル・カメラまで、多種多様な機器に浸透しつつあります。この市場の原動力となっているものを理解できた経営者、開発者、投資家は、その成長から恩恵を得る上で極めて有利な立場に立てるでしょう。

NF:パネルで使用されたスライドのコピーは入手できますか?

Wallace:もちろんです。私のメールアドレス(wallace@emusoftware.com)までメールをいただければ、折り返しコピーを送りますよ。

Maria Winslowは、米VirtuasのOpen Source Practice Leaderである。オープンソース・ソフトウェアが顧客のコンピューティング環境にどのような技術面、予算面の影響を与えるかを助言する業務を専門とする。著書に『The Practical Manager’s Guide to Open Source』がある。

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