LinuxWorld Expo Bostonレポート

今週ボストンで開催されたLinuxWorld Conference & Expoは、ほかのLinuxイベントと同様、スーツ姿とTシャツにジーンズがブースの両側で入り混じっていた。約140の出展者の中には、相当数の業界大手企業(AMD、Apple、BMC、Computer Associates、富士通、HP、IBM、Intel、Novell、Oracle、Sun、Unisysなど)、Linux主要ベンダ、いつものLinux/オープンソース/フリーソフトウェア団体とグループ(Free Software Foundation、Etherboot Foundationなど)、Debian、Fedora、GNOME、X.orgなどが見られた。ブースの人の入りはまずまずで、来場者たちは熱心に情報を収集していた。

ソフトウェアの展示は、仮想化、グリッド、クラスタ化から、システムとネットワークの管理、WindowsからLinuxへの移行、マルチプラットフォームのシンクライアント、パフォーマンスと変更の管理、レポーティング、アプリケーション開発、その他エンタープライズ関連の分野に及んだ。

展示フロアを歩き回って聞き集めたニュースをいくつか紹介しよう。

EMU Softwareは、同社のエンタープライズ級コンフィギュレーション管理ソフトウェア(エージェントベース)がRed Hat、SUSE、MandrakeLinuxで使用可能になったことを発表した。ユーザには、工業用、医療用、特殊用途のガス(ソーダ用CO2など)を販売する大企業もあり、約10台のサーバを使っている。

ActiveStateは、Komodo 3.1アプリケーション開発環境を発表した。これはPerl、Linux、Subversionソースコントロールのユーザには、Perl、Python、PHP、TCLなどのスクリプティング言語と共に使用する上で興味深い製品である。「そうした動的言語のために基礎から作り上げた開発環境です」とセールス&マーケティングディレクターのMatt Herdon氏は話した。「この開発環境は、それらの言語でのプログラミングスタイルに適したものになっています。たとえば、Perlプログラマに必要なツールはすべて揃っています。」

SSH Tectiaは、同社のメインフレーム用SSH Tectia Client/ServerソフトウェアのLinuxおよびIBM z/OS用バージョンを発表した。

MEPISは、SimplyMEPIS Linuxディストロを展示していた。これは、Robin “Roblimo” Millerの書籍『Point and Click Linux』に入っている。

Business Objectsは、ビジネスインテリジェンスとレポーティング、クエリ/分析ツールを提供する企業で、BusinessObjects EnterpriseをLinux上で見せていた。

TallMaple Systemsは、新しいSamara 2.0を発表した。これは、OS、SNMP、Webユーザインタフェースを包含してLinuxベース機器の構築と展開を行うためのアプリケーション管理システムだ。創立者でCEOのGreg Snyder氏は、「独自の機能で拡張できる簡単なAPIを提供しています。たとえば、既にVPNのコードがある場合は、6〜8週間で展開可能な製品に仕上げることができます。もし新規に始めたら1年ぐらいはかかるところです」と話した。

OpenNMSは、同社のオープンネットワーク管理システムのバージョン1.2をリリースした。

Avamarは、Linuxベースのバックアップ/リストアソリューション、およびIBM Business Partnerロゴを披露していた。

Neoware Systems Incは、LinuxとXP用のシンクライアントおよびターミナルエミュレーション製品を展示していた。同社は、Linux界のマーケットリーダーだと自称している。同社は最近、Linux開発企業Mangrove Softwareを買収した。Neowareがほかのシンクライアント会社と異なるところは、アップグレードを安価にするために交換可能なROMフラッシュチップを使用していることと、顧客が自分の持っている周辺機器を使用できるよう標準物理ポートとソケットを使用していることだ。「また、プラスチックケースではなく堅牢なスチールケースを使用しています」と同社のマーケティング担当副社長Sharon O’Shea氏は話した。

Virtual Ironは、同社の仮想化技術を展示し、これが今回の展示の賞の1つに選ばれた。同社によれば、VMwareと異なり、これはInfiniBandで接続された複数のボックスをまとめて仮想化できるという。同社のビジネス開発担当副社長Bob Guilbert氏は、「1つまたは複数の仮想コンピュータを作成して、そこでOSとアプリケーションを実行できるようにする確かな技術を私たちは持っています。独立した複数の物理サーバに渡って集約することができるのは私たちだけでしょう」と話した。

Emperor Linux Inc.は、新しいSharp AL3Dノートブックコンピュータで、Debianを実行して、3D画面を展示していた(正式には3月中旬リリース予定)。この3D画面には正直びっくりさせられた。

SteelEyeは、LifeKeeperの開発元であり、IBMのpシリーズマシン用にLifeKeeper for Linux on Powerを発表した。これは、サーバを監視して動作時間を明確にする、データとアプリケーションの保護プログラムだ。

BitDefenderは、Linuxシステム用ブータブル救済CDのLinuxDefenderと、Linuxのメール/ファイルサーバ用アンチスパム/アンチウイルスソフトウェアを展示していた。

Yosemite Technologiesは、マルチプラットフォーム用Tapeware Backupを展示し、またディスクバックアップサポートを発表した。同社は来月、エンタープライズクラスの製品を発表する計画で、この製品ではディスクからディスク、ディスクからあらゆるメディアへのバックアップを提供し、「仮想ライブラリを作成してあらゆるメディアを可能にする」とマーケティングディレクターのJake Mora氏は話した。

WHAM Engineering and Softwareは初めての出展で、LinuxとUnix用のパフォーマンス計測ソフトウェアを展示した。

Palamidaは、同社として初めてIP Amplifierソフトウェアの商用リリースを発表した。これはソースをチェックして、サードパーティのオープンソースその他のコンポーネントを識別する、と創立者Theresa Bui Friday氏は話した(SCO訴訟のような侵害訴訟を考えてみよう)。

BlackDuck Software Inc.は、ソフトウェア・コンプライアンス・マネージメントのソリューションを提供する会社で、同社のソフトウェア・コンプライアンス・ライセンス管理ソフトウェアを展示していた。これは、ソースコードを各種OSプロジェクトと照合し、一致した場合に関連するライセンス義務を確認するためのものだ。

PCs for Everyoneは、ギークに人気のボストン地域のホワイトボックスショップで、Windows、Linux、マルチブート、最小構成コンピュータという選択肢を何年も提供しており、今回、あるLinuxトレーニング/サポートパートナーとブースを共有していた。

Pervasive Softwareは、ソフトウェア業界20年の古参企業で、Btreiveなどのプロプライエタリ組み込みデータベース製品で知られる。同社は最近発表したPervasive Postgresを展示していた。これはPostgreSQLの同社版で、同社はサービスとサポートを提供する。プロダクトディレクターのLance Obermeyer氏は、「私たちは、Postgresの世界に飛び込んで、確立されたコーポレート環境に取り込もうとした最初の企業でしょう」と話した。

Linuxイベントの展示フロアでは、1つか2つ特定のエリアに偏って盛り上がっているのを見かけることがある。LinuxWorld Expoでは、少数のおおげさな宣伝が圧倒したりせず、広範なベンダが、それも各カテゴリに複数ベンダが参加していたことを、頼もしく、またうれしく思った。同様にうれしかったことは、高校生らしき少年から、白髪の高齢者まで、幅広い年齢層が参加していたことで、また、10年かそれ以上前に、残念ながら今は亡きBoston Computer Societyのイベントで会った人々が少なくとも何人かいたということだ。新しい世代の参入もうれしいが、蓄積された知識があるのもよいことだ。

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