HPのSCO補償に対するLinux権威者たちの評価

Linus Torvalds(電子メールにて):「とにかく、HPがどういう形でもSCOに金を支払わないのであれば、僕は大賛成だ。」(これは、HPが先ほど発表した、SCOの知的所有権訴訟に対してHPが自社のLinux顧客に補償を行うという補償制度(opentechpress.jp記事)についてのコメントである。)

Linusはこうも語っている。「SCOが訴訟を起こすとは思わないし、そのことについて賭けてもいいくらいだが、補償は悪くないアイデアだ。これはひねくれたマーケティング戦術なのだろうが、人々が望むなら、そうしない理由はないだろう。」

「しかし、どういう経過でそうなったのかという内部事情はまったく聞こえてこない。もしSCOとの間に何らかの合意があるとすれば、HPには失望せざるを得ない。『テロリストと交渉はしない』というのが基本姿勢だろうに…」

Bruce Perens(電子メールにて):「補償は無意味だ。補償を行っているさまざまな団体は、いずれもソフトウェアの購入金額を払い戻すだけで、実際の損害額は補償してくれない。したがって、オープンソースを無料配布しているいずれかのサイトからソフトウェアをダウンロードした人にとっては、何も得るところはない。もっとも、SCOの大言壮語はほとんど無意味だし、彼らが法廷で勝つ見込みはゼロなので、補償を約束するのはわけもないことだ。」

「補償が重要だと考えている人は、物事をもっと深く考えるべきである。」

Eric S Raymond(電子メールにて):「この話を聞いてまず思い浮かんだのは、HPは明らかに、SCOが訴訟に勝ちにくるだろうとは考えていないということだ。HPはずっと昔からの継続的なUnixライセンス購入者である。補償が重大なリスクであると彼らが考えているならば、SCOの肩を持つことは彼らの損にならないだろう。実際彼らには、そうする理由がある。利益率の高いHP-UXビジネスの地盤沈下を遅らせるためにだ。」

「次に思い浮かんだのは、これは、両社にとって重要度を増しつつあるLinuxサーバビジネスにおいて、IBMの一歩先を行くための方策であるということだ。」