以前も書いたことだが、私は、誰かが誰かに何らかの意味でFLOSSの利用を「強制」するというのは発想からして間違っていると思っている。プロプライエタリよりも機能的に優れているからFLOSSを自発的に選びます、というのが本筋であって、何がなんでもFLOSSを使わせるというのは本末転倒であろう。
ただ、唯一下駄をはかせてでも強制したほうがいいのではないかと思っている分野がある。それは、政府など公的機関で利用されるソフトウェアだ。ソースコードが公開されているということが、公正さや検証可能性の見地から重要だと思うからである。しかも、すでにベンダーロックインが起こっている可能性が高いので、強力なイニシアチブが無ければいつまでたってもプロプライエタリ依存から脱却できない。
そういう意味からすると、この記事はなかなか興味深い。日本で憲法というとどうもサヨクのおもちゃというか、錆びついた伝家の宝刀という印象があるのだが、レッシグの議論の拠り所も実は合衆国憲法だし、こういう形で活用できるようになるといい。日本ではなかなか難しいと思うけれど…。
ちなみに、文中でこの動きの旗振り役として出てくるFSFLAのAlexandre Olivaは、来月末のThe 5th International GPLv3 Conferenceで来日する。おそらく初日に何かしゃべるだろうから、興味がある向きは出かけてみると良いだろう。