RHEL 9互換「Rocky Linux 9」が登場

 Rocky Release Engineeringチームは7月14日、最新版となる「Rocky Linux 9.0」を発表した。

 Rocky Linuxは、Red Hat Enterprise Linux(RHEL)互換のLinuxディストリビューション。CentOSのオリジナル共同開発者であるGregory Kurtzer氏が、Red HatによるCentOS Linuxの開発打ち切りを受けて立ち上げたプロジェクトで、アップストリームベンダーの後にリリースをビルドするダウンストリームビルドとなる。Rocky Linux 9は5月に公開されたRHEL 9と互換性のあるリリースで、2032年5月末までサポートされる。なお、バージョン8(「Rocky Linux 8」)のサポートは2029年5月末となっている。

 デフォルトのデスクトップ環境は「GNOME 40」となった。コアアプリ、設定、UIなどの改善によりデスクトップOSとしての使用も強化した。Activitiesのルック&フィールを改善し、ドラッグ&ドロップによるアプリケーションアイコンのグループ化もできるようになった。ファイルシステムでは、XFSでDirect Access(DAX)オペレーションをサポートした。NFSも強化し、遅延の削減につながるeager writeマウントオプションが加わった。

 ランタイムとコンパイラでは、GCC 11.2.1、glibx 2.34、binutils 2.35、LLVM 13.0.1、Rust 1.58.1、Go 1.17.1など最新のものになった。Python 3.9はバージョン9系のライフサイクル全体でサポートするという。Node.js 16、Ruby 3.0.3、Perl 5.32、PHP 8.0などもサポートする。Rocky Linux 8で利用できるモジュールパッケージ機能を拡張、Software Collections、Flatpaks、RPMなどをアプリケーションストリームに組み込むことで、開発者が容易に選択できるようにした。セキュリティでは、SSH経由のパスワードによるルートユーザー認証がデフォルトで無効となった。ルートパスワードに代わり、SSH鍵を使ってリモートシステムにアクセスできる。 OpenSSLはバージョン3.0.1をサポート、HTTPSクライアントのサポート強化、新しいFIPSモジュールなどの特徴がある。 WebコンソールCockpitではパフォーマンスメトリクスページを改善し、CPU、メモリ、ディスク、ネットワークなどのリソース使用急増につながる原因を容易に識別できるようになった。

 Rocky Linux 9はx86_64、AArch64、POWER PPC64LE、s390xをサポート、プロジェクトのWebサイトより入手できる。

Rocky Linux
https://rockylinux.org