「Wasmer 2.0」が公開

 米Wasmerは6月3日、WebAssemblyランタイムの最新版となる「Wasmer 2.0」を発表した。SIMDサポート、Reference Typeの導入などが特徴となる。

 WasmerはサーバーサイドのWebAssemblyランタイム。WASIとEmscriptenをサポートし、ほぼネイティブレベルという速度、それにセキュリティを特徴とする。軽量なコンテナを作成してデスクトップ、クラウド、エッジなどで動かすことができる。1月に初の正式版として1.0が公開された。

 安定性、セキュリティ、性能の観点で強化を図った。公開APIは全て1.0と同じだが、内部のAPIを一部変更した。影響を受けるユーザーは1%に満たないとしている。SIMD(single instruction, multiple data)のサポートが加わった。データレベルの並列処理が可能になり、機械学習、3D物理エンジン、ブラフィックアプリケーションなどで性能の改善が図れるとしている。

 Wasmモジュールが特定の型を共有したり参照できるReference Typesも導入した。これによりWasmモジュールとホスト間のやりとりのコードを簡素化できる。性能では、浮動小数点演算でのLLVMランタイムの速度が最大50%高速に、Craneliftでのランタイム性能は48%高速になった。関数呼び出しでも、可能な限りカーネルとのインタラクションを回避することで迅速になった。

 後方互換性を損なう変更として、Wasmer 1.0でシリアル化したWasmerモジュールは、バージョン2ではデシリアライズ(復元)できない点を留意している。このほかにも細かな強化が加わっている。Wasmer 2.0はプロジェクトのWebサイトより入手できる。ライセンスはMIT License。

Wasmer
https://wasmer.io