「QEMU 6.0」公開
マシンエミュレーターQEMU開発チームは4月29日、最新のメジャーリリースとなる「QEMU 6.0」公開を発表した。
QEMUは汎用のマシンエミュレーターと仮想環境の実行機能を持つソフトウェア。対応するアーキテクチャの任意のマシンでOSを動かしたり、他のLinux/BSDターゲット向けのプログラムを動かすことができる。仮想化では、仮想環境の実行エンジンとして使用することで、KVMとXenをネイティブに近い性能で動かすことができる。QEMU 6.0jは、2020年4月に公開されたバージョン5に続くメジャーリリースとなる。
Out-of-Processのデバイスエミュレーションをサポートするため、-machine x-remoteと-device x-pci-proxy-devのオプションが実験扱いとして加わった。現時点ではlsi53c895 SCSIデバイスのみを別のプロセスでエミュレートできる。NVMe Controllerのエミュレーションも強化し、サポートする仕様がNVMe 1.4となった。Zoned Namespaces、NVM Subsystems、マルチパスI/O、名前空間共有などを実験的にサポートした。コマンドでも、データセット管理、NVMフォーマットなどが加わっている。Xenでは、ゲストローダーをサポート、Xenライクなハイパーバイザーがファームウェアやブートローダーを介することなく直接カーネルを起動するテストができるという。
QualcommのHexagon DSPユニットのエミュレーションをサポートした。ARMでは、ARMv8.1-Mアーキテクチャ、Cortex-M55 CPUのエミュレーション、ARMv8.4-TTSTとARMv8.4-SEL2の拡張のエミュレーション、FEAT_SSBSのエミュレーションなどもサポートした。PowerPC、RISC、x86などでも改善や強化が加わっている。ビルドでは LLVM Control-Flow Integrity(CFI)またはリンク時最適化(LTO)を使ったビルドをサポートした。マイグレーションでは、Linux UFFD-WPを使ったバックグラウンドのRAMスナップショットが実験扱いで加わった。
このほかにも多数の機能強化が加わっている。
QEMU 6.0
https://www.qemu.org