「Wine 6.0」が公開

 WindowsアプリケーションをLinuxなどPOSIX準拠のOSで動かすための互換レイヤ「Wine」の開発チームは1月14日、最新メジャーリリースとなる「Wine 6.0」を公開した。

 Wine 6.0は2020年1月に公開された「Wine 5.0」に続く最新のメジャーリリース。この1年で8300件以上の変更が加わったと報告している。

 このところ進めてきたPE(Portable Executable)形式でのモジュールの提供を継続し、6.0ではNTDLL、KERNEL32、GDI32、USER32などコアのDLLをPE形式で構築した。これにより、ディスク上のDLLファイルとインメモリコンテンツとをチェックする複製保護スキームを用意にするとしている。また、UNIXライブラリをPEモジュールと関連付ける新しいメカニズムも導入した。この仕組みを利用して、Win32 APIでは対応できないファンクション向けにPEからUNIXライブラリを呼び出すことができる。このほかにも、PEモジュール関連で機能強化が加わっている。

 Direct3Dでは、WineD3D向けVulkanレンダラーを実験的に実装した。Direct3DシェーダーをSPIR-Vシェーダーに変換するためにはvkd3d-shaderが必要。6.0ではVulkanレンダラーのシェーダーサポートはモデル4または5のみとしている。

 このほかにも、デュアルソースのブレンディングなどのDirect3D 11の機能が実装された。テキストとフォントでは、テキストコンソールのサポートを再実装した。UNIXの擬似端末TTYと同等の擬似端末を実装し、全てのコンソール処理はConHostプロセスで行われるようになった。Media Foundationフレームワークが完成し、AMStream(ActiveMovie Multimedia Streaming)ライブラリの実装も強化した。ビデオとオーディオではこのほか、DirectShow File Writerフィルタの実装、Media Detector APIの強化などが加わっている。

 Rawインプットデバイスとメッセージを実装、DirectInputで使用できる。USBデバイスへのアクセスを提供するLibUSBライブラリベースのUSBカーネルドライバも初期実装した。 このほか、多数の機能が加わっている。

Wine
https://www.winehq.org