CentOSが開発方針を変更ーー「CentOS 8」は2021年終了、今後は「CentOS Stream」に注力

 The CentOS Projectは12月8日、Linuxディストリビューション「CentOS」の開発方針の変更を発表した。「Red Hat Enterprise Linux(RHEL)」互換の「CentOS Linux」からフォーカスを「CentOS Stream」に移すという。「CentOS Linux 8」は2021年に終了するとしている。

 CentOS(Community ENTerprise Operating System)はRed Hat Enterprise Linux(RHEL)と互換を目指すディストリビューションを開発するコミュニティプロジェクト。オープンソースで公開されているRHELのソースコードを元に、商標など無償公開・配布の際に問題となる著作物を取り除いてビルドし、公開している。2004年に歴史を遡るプロジェクトで、途中存続の危機を迎えがら2014年にRed Hatに取得された。Red HatはIBMに2019年に買収されている。

 CentOS Projectによると、今後はCentOS Streamに開発を集中させるという。そのための準備として、今後1年かけてCentOS LinuxからCentOS Streamへとフォーカスをシフトさせる。CentOS Streamは2019年に公開されたディストリビューションでRHELの開発ブランチのスナップショットとして、RHELリリースよりも先に利用できる。CentOS Special Interest Groups(SIGs)におけるコラボレーションのシフトも意味しており、今後SIGsはRHELの次期版に盛り込まれる機能に対して開発やテストができることになるとしている。

 CentOS 8が2021年に終了した後、CentOS 8ユーザーはCentOS Stream 8にマイグレーションすることを推奨している。CentOS Stream 8もCentOS Linuxと同様に定期的にアップデートされるという。運用環境でCentOS 8を使っておりCentOS Streamがニーズに合っていないという懸念がある場合はその他の選択肢についてRed Hatに連絡するようにと記している。CentOS 7についてはRHEL 7のライフサイクルに合わせて公開を進める。

 なお、RHEL互換のLinuxディストリビューションにはCentOSのほか、「Oracle Linux」「Scientific Linux」があったが、Scientific Linuxは2019年に開発を終了し、CentOSに移行することを明らかにしていた。Oracle Linuxは現在もアクティブなプロジェクトとなる。

 今回の変更についてRed Hatも声明文を出しており、「技術の進化スピードが加速しており、CentOS Streamはコミュニティレベルで迅速なイノベーションを行うプラットフォームでありながら、プロダクションのダイナミクスを理解する土台にもなりうる」と質している。

The CentOS Project
https://www.centos.org
FAQ – CentOS Project shifts focus to CentOS Stream
https://centos.org/distro-faq/